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ファッションとしてのCreativeCommons

カテゴリー[情報社会]

おはようございます。最近はてなばかり更新していた東です。どうも僕的にははてなのほうが性にあっているみたいなので、油断すると向こうばかり更新してしまいます。MovableTypeとはてなの使い分けは難しいですね。

さて、今日は、波状言論6月号用に椹木野衣氏と八谷和彦氏と鼎談する予定です。そのために朝からいろいろとネタ仕込みをしているのですが、その過程でヤノベケンジ氏のサイトに行きました。

http://www.salon-de-rosp.com/blog/megalomania/

ヤノベ氏は、失われた未来イメージをテーマとして継続的に興味深い活動をされているかたです。チェルノブイリ近郊の廃墟になった遊園地をアトムスーツで彷徨う、というプロジェクトを最初に見たときの衝撃は忘れられません。最近も大阪万博のエキスポタワーを題材に刺激的な作品を作られています。八谷さんや村上さんとともに、僕がリスペクトしている美術作家のひとりです。上記サイトでその魅力は十分に堪能できるので、みなさんもぜひ覗いてみてください。

……のはいいのですが、このサイトにはちょっとした問題があります。各ページのサイトの下にはCreativeCommonsのバナーが張られ、そこには「No Rights Reserved」と書かれている(つまり、もっとも強いタイプのCCライセンスが選ばれている)のですが、そのすぐ下には、「Copyright (C) 2003 Salon de Rosp Co.,Ltd. All Rights Reserved. 」と「作品の著作権はヤノベケンジに帰属します。全ての画像・キャプション等の無断転載を禁じます。」というまったく正反対の注意書きが記されているのです。

いったい、このサイトは、No Rights Reserved なのか All Rights Reserved なのか? 文章や画像の二次使用を認めているのかいないのか? まあ、認めていないと考えるのが適当でしょう。つまり、CreativeComonnsのバナーは、単に格好よさそうだから張られているだけなのです。

おそらくこれは、サイト制作者の方が、MovableTypeの設定であまり深く考えずにCreative Commonsの導入を決めたうえで、さらに深く考えずに商用サイトにありがちな注意書きをコピぺしたことによって生じたミスだと思います。したがってこの問題をこれ以上追究してもしかたないのですが、こういうミスが、マイナーな個人サイトだけではなく(そのレベルではこの手の混乱はありふれています)、日本を代表する美術作家のサイトにまで見られるのは問題です。ヤノベ氏の作品はヴィジュアル的にもインパクトが強いので、もしそれが本当にCCで公開されていたら、創造性を刺激されるひとも多かったことでしょう。それだけに、そこでCCのバナーが単なるファンションとして消費されているのは、残念でなりません。日本における、CreativeComonnsに対する意識の低さ(そして、僕も含めた、関係者の啓蒙努力の少なさ)を象徴する事例だと思います。

僕はいままでCCにあまり肯定的に言及してきませんでした。レッシグの本は一昨年から昨年にかけて話題になりましたし、僕が所属するGLOCOMがCCjpをホストしていたり、ICCがシンポジウムを開いたりと、仕事的にはかなり関係があったにもかかわらず、です。その理由は、昨年あたりの状況では、CCの理念は、日本ではこういうかたちで「舶来の格好いいもの」として消費されるだけだろうと予測していたからです。実際、CCの名前だけは拡がったようですが、実態はいまでも上記のような状況です。ネットで話題になることも何となく少なくなってきました。

しかし、こうなってくるとあえて言いたくなるのですが、CCの理念はもう少し真剣に受け止め、長期的に取り組むべきものです。だとすれば、いまこそ、業界ノリで短期的な話題作りをしたり、「公式ライセンス」の発表で満足するのではなく、著作権に頼って生活している個人(たとえばヤノベさんはそのひとりでしょう)が本気で取り組みべき選択としてCCの理念を訴えて行く、地味な啓蒙活動が必要なんじゃないでしょうか。それはもはや、レッシグ自身の意向とも関係ありません(レッシグ自身は、CCのグローバルな展開のために、マスコミでの話題づくりを望んでいるのかもしれません)。日本のネットは、もともと、彼の理念を草の根レベルで展開するのに適しているのです。僕が念頭においているのは、コミケとかパロディとかFlashとかのことですが、それはまたそのうち書きます。

そういえば、一時期はてなで盛り上がっていた萌えクリ本の企画とか、どうなったんでしょう。ああいうのに期待していたのですが。

Posted by: hazuma : 2004年05月08日 07:45 | TrackBacks

コメント

今のところ、わかりやすい説明のされたサイトが無い、というのが大きな原因かと思われます。
表示の矛盾にすら気づかないのですから、法律云々ではないようです。
CCにはどんなメリットがあってデメリットがあるのか、現在自分もよくわかっていないので、CC表示はしないようにしていますが。表示したらパクリ画像は使えないじゃん!とか。

Posted by: Cyberbob:-) : 2004年05月08日 10:39

ヤノベさんこないだトップランナーに出てましたね。
僕もヤノベさんのサイトは見たことがありますが、CCバナーにはまったく気づきませんでした(笑)。

萌えクリは、近日中に何かあるかも知れません。

Posted by: FlowerLounge : 2004年05月08日 12:00

Winnyの開発者が逮捕されたって言うのは・・・どうなんでしょう

Posted by: XP : 2004年05月10日 08:20

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このブログは、批評家・東浩紀の近況を伝えたり、未完成のアイデアを公開したりするためのものです。運営者は東浩紀本人です。東浩紀の経歴や仕事については、当ブログの親サイトにあたる「hirokiazuma.com」を参照してください。

このブログは、別の形式で運営されていた近況欄を引き継ぎ、2003年12月にオープンしました。2000年8月から2003年7月までの近況欄は、通常のHTML形式で公開されました。その内容は、上記サイトの「以前の情報たち」のディレクトリに格納されています。

また、2003年8月より11月までの近況欄は、無料の日記サービス上で、「hirokiazuma.com@はてな」として展開されました。現在同ページは、「波状言論::はてな出張所」として、東浩紀が運営している自主流通本プロジェクト「波状言論」の告知ページとして運用中です。

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