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新城カズマと桜坂洋

新城カズマの新作『サマー/タイム/トラベラー1』『サマー/タイム/トラベラー2』を読みました。

僕はこのブログでは、基本的に書評や映画評は書かないことにしています。気軽に作品評をアップしていると自分の首を絞めるような気がするからですが、それでも、半年にいちどくらい、首を絞めてもいいやと思う作品に出会うことがあります。この『サマー/タイム/トラベラー』もそのひとつです。

この小説は小品ながらよくできています。一昔前に「レトロフューチャー」という言葉が流行りましたが(いや、流行ってはいなかったかもしれないけど、ともかく)、その倒錯した感覚をみごとにキャラクターとSF設定のなかに落としている。地域通貨とか監視カメラとか、『凹村戦争』的な閉塞感とか、諸処に織り込まれたガジェットもいい感じです。多くを語るのはよしますが、それでもひとつ言っておけば、最後の20ページほどに詰め込まれた未来スケッチにはけっこう感心させられました。「被著作人」や「情報税」というのは作者の造語なのかしら? 僕もほかで借りたいものです。

ところで、この『サマー/タイム/トラベラー』と同時に、同じハヤカワSF文庫から、桜坂洋の『スラムオンライン』も出版されています。

こちらも、大塚ギチの『東京ヘッド』が青春小説に昇華されたようないい感じの作品なのですが、桜坂であれば、やはり、昨年末に出版された『All you need is kill』をお勧めしたい。この作品は傑作です。「メタリアル・フィクションの誕生」(動ポモ2)の(とくにその舞城王太郎論の)読者であれば、僕がこの作品に惹かれる理由はすぐ分かるでしょう。

『サマー/タイム/トラベラー』といい、『All you need is kill』といい、今年は、ライトノベルとSFの交差点で完成度の高い作品が続いているような気がします。『ファウスト』と並びこちらも注視しています。


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