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ここは、批評家・東浩紀が運営するブログサイトです。東浩紀の経歴や業績については、当ブログの親サイトに情報があります。hiroki azuma portalをご覧ください。
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GLOCOM辞職のお知らせ
投稿日時:2006年06月22日16:46
東浩紀です。
さて、僕は国際大学グローバル・コミュニケーション・センター(GLOCOM)という研究所の副所長を務めていたのですが、このたび、副所長を辞任し、ついで近日中に研究員職も辞することにいたしました。この夏から、しばらくフリーの批評家に戻ります。
■
理由は、GLOCOMの運営方針が大幅に変わり、僕のような人間がいる場所がなくなったからです。僕は、isedを行ったり、機関誌『智場』をリニューアルしたりと、自分なりにGLOCOMの再生とイメージアップに注力してきたつもりだったのですが、違和感を覚える方が多かったようです。どこの会社にでもありそうな派閥抗争が展開され、中傷などもあり、そのすべてに嫌気がさして僕は辞任を決めました。ほぼ同時に、所長代行(所長は不在なので実質的な所長)も辞任しており、GLOCOMの経営陣は大きく変わることになります。僕は、今後GLOCOMのなかでは自由な活動ができそうにないので、潔く職を辞することにしました。
僕がGLOCOMを辞めることで、自動的に東浩紀研究室も消滅します。東研では今年度、僕が責任者である「ギートステイト」(先日ネットラジオで放送したものです)と、井上明人くんが中心となり、DiGRA JAPANとも連携を模索していた「コンピュータ・ゲームのデザインと物語についての研究会」(RGN)の2つのプロジェクトが動いていました。
前者については、GLOCOM内のプロジェクトとしては近日内に閉鎖し、桜坂洋さん、鈴木健さんと任意団体を結成し、そこを母体としてGLOCOM外のプロジェクトとして継続する方針を決めました。幸いなことに、プロジェクトが企画段階で、アウトプットもなければ出金もほとんどない状態だったので、それが可能でした。プロジェクトそのものは、GLOCOMを離れることで、むしろ普通にエンターテインメントとして営業ができやすくなったので、大きく成長するかもしれません。がんばってみます。
後者については、井上くんが研究員として在籍し続けているかぎり、存続に問題はないと思います。先月の『論座』にも書きましたが、来年、DiGRAの国際会議が東京で開かれます。実は僕としては、国際会議に向けてDiGRA JAPANと連携を深め、GLOCOMを日本のゲーム研究の一拠点とする(そしてそこに美少女ゲーム研究も滑り込ませる 笑)などという夢を抱いていたのですが、それはさすがに無理になってしまいました。あとは個人としてRGNやDiGRAに協力していきたい、と思っています。
ほか、もうお蔵入りなので公開しておくと、実は東研では、水面下で「1995年以降の日本社会論を分野別に整理し、アンソロジーを組んで海外に発信する」プロジェクトなども進めていました。このプロジェクトは、編集料や翻訳料など、最低でも数百万の費用がかかるので、スポンサーを集めていたところでした。しかし、これは水泡に帰しました。
さらに僕は、発信編集局長なるものも兼務していた(こちらは形式的にはまだ解任されていないのですが、実質的にはすでに同じことです)ので、そこでは『智場』を新しいタイプの情報社会系批評誌にするべく、本気で編集を始めていたところでした。106号では金子勇氏を引っ張り出してWinnyとSNSを、107号では梅田望夫氏でWeb2.0を特集したのですが、これはなかなか悪くなかったと自負しています。108号では、巻頭で稲葉振一郎さんと『モダンのクールダウン』をめぐって対談する予定だったのですが、副所長を辞任した僕が機関誌で巻頭対談なんてありえないので、これは中止になります(稲葉さん、すみません……)。『智場』が今後どうなるのかは、すでに僕の手を離れています。
■
というわけで、GLOCOMでやり残したこと、辞職のためにできなくなったことは無数にあります。そのかぎりでは残念です。
しかし、冷静に考えて、僕はここでGLOCOMを離れることになって、本当によかったと思います。
GLOCOMは小さな組織ですが、それなりに重い歴史を抱えており、副所長という職務は予想以上にたいへんでした。そして僕は、副所長に任命されたのこそ4月ですが、次期所長候補として(というのも、いまや言ってもいいでしょう)昨年の夏から1年ほど、ずっと経営面を見させられてきました。そこで僕は、予算表をみたり組織図を変えたり人間関係を調整したり理事長に挨拶したり、まったく不向きなことに時間を費やしてきました。そして、その辛苦を支えてきたのは、それを耐えさえすれば、まったく新しい、自由な人文系研究所を作れるかもしれないという(いまから思えば甘すぎる)理想であり、またその理想を掲げていた所長代行への共感でした。
しかし、いまや僕は、その理想を失うとともに、努力からも解き放たれました。あとは僕は、自分がやりたいこと、自分の生活を支えることだけを考えればよい。この清々しさは、しばらく忘れていたものです。そして、いまの僕にいちばん必要だったのは、この清々しさのような気がします。
やり残したことの多くは、GLOCOMの外でもできることです。実際に「ギートステイト」は3人のチームで継続しますし、『智場』で得た感触を活かして今度は出版社で雑誌を立ち上げる、というのもありでしょう。これからは、そういう方向を探っていきたいと思います。
以上、報告でした。冒頭に記したように僕は「フリーの批評家」に戻ったので、まずは溜まったアイデアを書籍化することに注力します。
あらためて、みなさん、よろしくお願いいたします。
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