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少し記事を訂正

こんにちは。昨日、CEDECで講演を行ってきました。

その記事がITmediaさんで出ています。

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0608/30/news096.html

よくまとまっている記事なのですが、ひとつだけ訂正を。

記事中に「「『最果てのイマ』(2005年)でテキストを囲むテキストボックスが採用されたことが、ここ10年で最大の変化」と東さんは冗談交じりで語る。」という文章がありますが、むろん、みなさんご存知のとおり、テキストボックスはけっこう前より存在し、別にこの作品で発明されたものではありません。

おそらく、僕の言い方が悪かったのでしょう。「冗談まじり」あたりがよくないのですね。ライターさんに誤解を与え、すみません。

ところで、それはそれとして、CEDECのこの講演、僕的にはたいへんアウェイな雰囲気で、短いながらけっこう緊張しました。パネルディスカッションには芝村裕吏さんもいて、恐縮するばかりです。そもそも、僕は芝村さんがいらっしゃるとは聞いてなかったのです。芝村さんの前で「ゲーム性」とか言いたくないって!

【追記】

該当記事のはてブのコメント欄やそのほかの反応を見ていて、補足したくなったので追記。

該当記事でも明らかだと思うのですが、僕は「美少女ゲームはゲーム性が高い(あるいは低い)」とか、「美少女ゲームからゲーム性を捉え直すべきだ(あるいは捉え直すべきではない)」とか言っているのではなく、「一方に美少女ゲームをゲームだと思っているひとが多く、他方に美少女ゲームはゲームじゃないと言っているひとが多いみたいなので、まずその状況について考えてみよう」と言っているだけです。僕はこの講演では、ゲーム性とはなにかについて、まったくなにも語っていません。むしろ、「ゲーム性」について神学論争をしてもしかたないんじゃないか、みんながゲームだと言っているんだからそれはゲームなんじゃないか、というのが僕の暗黙のメッセージです。

ただ僕としては、そこで「みんながゲームだと言っているんだからそれはゲームなんじゃないか」は別に終着点ではなく、そういう状況こそ思考の出発点になるんだよ、と言いたかったわけです。なぜならば、言葉の定義をめぐる論争や齟齬は、一見不毛なように見えて、実は消費者共同体の分化やメディア/市場の変化を反映していることが多いからです。「ゲームとはなにか」に対する回答は無数にあるでしょうが、それは決して「ゲームとはなにか」が空しい問いであることを意味するのではなく、むしろその多様性からユーザーの状況が見えてくる。言葉の闘争は、しばしば文化のダイナミズムの指標になります。

そういう観点で見ると、ここ10年くらいの美少女ゲームの進化(退化?)は実に興味深いのではないか。そこからは、「ゲーム性」という言葉がもはや単体としての作品の性質を指すものとして使われていない状況が浮かびあがるのではないか。そしてさらに、それを分析してみると、僕たち(これは美少女ゲームのユーザ以外も含めて)がいま直面している物語的想像力の変化やユーザコミュニティの変化が見えてくるのではないか、というのが、僕の言いたいことでした。

ちなみに、当日用いたpptはほとんどこちらで撮影されています(笑)。

http://plusd.itmedia.co.jp/games/articles/0608/30/news083_2.html

またもうひとつ、補足します。僕は、狭義の美少女ゲーム(ノベルゲーム)で恋愛アドベンチャーゲームを代表させるつもりはまったくありません。僕はゲームの専門家ではないので、PCゲームや恋愛アドベンチャーゲームの全体について語る資格も意図もありません。

そもそも僕には、批評家として、ゲームの歴史ともオタクの歴史ともまったく違う別方向の関心があって、「『雫』以降の、テキスト-立ち絵型インターフェイスに依存したシナリオ分岐型恋愛アドベンチャーゲーム」はその点で引っかかるので、よく話題にするというだけの話なのです(とはいえ、こと美少女ゲームについてはけっこう真面目に調べているので、そんなにまちがったことは言っていないつもりですが)。そして今回は、主催者側がまさにそのことを話してくれというから、話しに行きました。

僕は「いやー、僕なんかに講演させるのはやめたほうがいいです、そもそも僕、PCゲームよく知らないし! マックユーザーだし!(笑)」と言ったのですが、「美少女ゲームの話こそしてもらいたい」と言われたのでこういう講演をさせてもらうことになったのです。PCゲーム全体について語るためには、当然のことながら別のフレームが必要でしょう。でもその点が、記事だけ見るとひっかかるのかもしれませんね。

というわけで、当日も会場で再三繰り返したのですが、僕のゲーム観はとても狭く、おまけに変わっていて、また自分でもそれはよくわかっているので、そういうものとしてカッコに入れて読むことをお勧めします。そもそも研究とか批評って、そんなものなのです。


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