kajougenron : hiroki azuma blog
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思想誌『思想地図(仮)』創刊
投稿日時:2007年08月09日15:25
こんにちは。東浩紀です。東京はたいへんに暑いです。
さて、以前よりちらりちらりと話題にしてきた北田暁大氏と共同編集で作る新しい思想誌ですが、少しづつ内容が固まってきたのでお知らせします。
新雑誌の仮タイトルは『思想地図』。この四文字で「カルトグラフィ」と読みます。フェリックス・ガタリが好んだあのcartographieです(日本語では「地図製作」と飜訳されている言葉ですね)。タイトルはあくまでも仮題なのでこれから変わるかもしれません。
編集委員は僕と北田さんの二人。版元はNHK出版。判型はNHKブックスと同じ、というよりも、形式的にはNHKブックスのなかの一シリーズとして刊行される予定です。2008年の春創刊。不定期刊行。350ページぐらいで、10人ぐらいの寄稿者を想定しています。
第1号の特集は「日本」。2008年の1月に、創刊シンポジウム「国家・暴力・ナショナリズム——00年代の「思想地図」」(これも仮題)を行う予定。シンポジウムについて、参加者など詳細はまだ確定していません。また、関連企画として、11月26日に、朝日カルチャーセンター新宿教室において、僕と北田さんとの対談講座「現代思想の再生——ポストモダニティと公共圏」が行われます。
執筆者はこれから詰めていく段階ですが、雑誌を創刊する以上、新しい書き手を発掘したいという思いがあり(とくに『批評空間』への投稿でデビューした僕には)、投稿論文を広く募るつもりです。とはいえ、ただ漠然と投稿論文といってもみなさん書きにくいと思うので、『思想地図』では、各号ごとに僕担当と北田さん担当の二つの課題を設定することにしました。また、完成論文をいきなり求めるのではなく、まずアブストラクト(要約)を提出してもらい、編集委員とのやりとりを通じて論文をブラッシュアップしてもらう、という段階的な方法を採ります。
締め切りや分量などまだ未確定の部分がありますが、僕が設定した課題の内容を、こっそりと以下に記しておきます。正式な投稿要領は、近日内にNHK出版のサイトで告知される予定です。変更の可能性もあるので、正式な内容は必ずNHK出版のサイトを見てください。
意欲ある書き手を待っています!
ーー
課題:
1970年代以降の日本の思想あるいは作品(ジャンル、メディアは問わない)をひとつ取り上げ、日本語で考え発表することの意味を軸として、作家論あるいは作品論を展開せよ。
審査:
東浩紀(主査)、北田暁大(副査)
課題説明:
1990年代以降、思想の言語はほぼ英語に統一された。他方で日本では、1995年以降、社会の構造が大きく変わり、思想地図の再編を迫られた。結果として、いま日本の批評的な言説は、国内独自の発展を遂げ、国外との連携を急速に失い始めているように思われる。たとえば、本誌編集委員の東浩紀と北田暁大の仕事には、1995年以降の日本の言論界に無知な、国外の読者に紹介することが難しいものが多数含まれている。
その閉鎖性は大きな問題だが、しかし逆に、「グローバル」なパラダイムが必ずしも思想的な強度を保証するものでもない。もしかしたら私たちは、いま、たいへん思想的に豊かなのだが、しかし、ただ日本語で書かれているという条件のためだけに、その豊かさが忘れられる運命にあるような、そのような袋小路の時代に入り始めているのかもしれない。
本誌はそのような環境のなかで創刊された。本誌が、これからかつての『批評空間』派のようにグローバルな連帯を目指していくのか、それとも宮台真司や大塚英志のように足下の国内的な強度を目指していくのか、その方針は実は編集委員のあいだでも決まっていない。そのような私たちに指針を与えてくれるような、広がりのある刺激的な論考を期待している。
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