kajougenron : hiroki azuma blog

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渦状言論は、批評家・東浩紀が運営するブログサイトです。東浩紀の経歴や業績については、当ブログの親サイトに情報があります。hiroki azuma portalをご覧ください。

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キャラクターズへの反応

こんばんは。東浩紀です。

『キャラクターズ』への主要紙文芸時評、文芸誌各紙そのほかの反応が出揃いました。僕の予想よりはるかに好評で、ほっと胸を撫で下ろしています。とにもかくにも、いろいろなひとが読んでくれたのは嬉しいことです。

小説家としては自作について沈黙しているのがかっこういいのでしょうが、そもそも僕は小説家というより批評家なので、そんな自意識に甘えて記すと、数多くの反応のなか、僕がもっとも「こいつは読めてる!」と思ったのは、実は『群像』の匿名コラム「侃々諤々」でした(笑)。あれ、だれが書いたんでしょう。だれかご存知のかたがいたら、こっそりと教えてください。

それと、もうひとつ。『キャラクターズ』については、小説部分は桜坂洋、批評部分が東浩紀と分けて、後者を小説から切り離して現実の批評として読む——というか、『キャラクターズ』全体を単純に東浩紀の新しい評論だと捉えている反応が一定数ありました。しかし、それはさすがに現実と虚構を混同しすぎです。

実際には『キャラクターズ』の制作過程においては、桜坂さんも批評を書き、ぼくも小説を書いています。しかも、たがいの部分には基本的に干渉しないことにしていたので、登場人物である「東浩紀」の言動の半分には、実は現実の東浩紀の手はまったく入っていません。だからこそ、あの主人公は「私」ではなく、「キャラクター」なのです。

むろん、こんなふうに作者の片割れがテクスト外で説明を加えても、それそのものは読者には関係ないし、実際にこの説明が真実かどうかは検証不可能です。だから、気にしなくていいといえば、まったく気にしないでかまいません。しかし、『キャラクターズ』が(少なくとも文芸誌の目次においては明示的に)批評ではなく小説として発表されている以上、小説内の「東浩紀」と現実の東浩紀をとりあえず区別しておくのは、文章を読むうえでの最低限のリテラシーではないかと思います。そんなリテラシーすら成立しないのか、と思える反応が今回プロの書き手からも複数あったのには、いささか驚きました。

いずれにせよ、はじめての小説執筆は刺激的な経験になりました。これからもよろしくお願いいたします。


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