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ここは、批評家・東浩紀が運営するブログです。東浩紀の経歴や業績については、hiroki azuma portalをご覧ください。

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渋谷慶一郎氏・佐々木敦氏とのトークショー

こんばんは。

またもやうっかり告知をし忘れていたのですが、今週の日曜日(10/21)、現代音楽家の渋谷慶一郎氏、評論家の佐々木敦氏とともに青山ブックセンターでトークショーを行います。詳細はこちら

なぜ東が現代音楽を?! と最近の僕の読者は思うかもしれませんが、僕は実は渋谷氏とは古くから、つまり『存在論的、郵便的』の出版以前からの知り合いで、なんと一緒にタワーレコードのフリーペーパーで連載までしたことがある仲なんです。

そのあと、仕事が離れたので疎遠になったかと思いきや、多摩美術大学に講演に行ったらポスターが貼ってあったり、鈴木健氏の友人として飲み会に現れたり、消えたと思ったら再来する幽霊のような男として(失礼!)、渋谷氏は僕の人脈メモリーのなかで微妙な存在感を発揮し続けてきました。そんな彼と10年ぶりにトークショーを行うのが、このイベントです。

ちなみに、その問題のタワレコ連載、自宅のコンピュータを探ったらあっけなく文章が出てきました。おそるべしデジタル時代。

というわけで、連載第1回の冒頭部分を、以下紹介しちゃいます。時は1996年。僕が25歳で、渋谷氏は23歳のころです。初出情報はもはやわかりません。いやあ、ふたりとも超突っ張っていて、めちゃめちゃほほえましいです。対談はこんな調子でガンガン続きます。

ライヒの新作"City Life"について

渋谷:スティーヴ・ライヒというと革新的なミニマリストと思われているけど、実はむしろ、ヨーロッパ的な意味で非常に伝統的な作曲家であり、それが彼のフィールドワーク的な部分とうまくバランスを取っているところに魅力がある。

東:その通り。実際『Writings about Music』(NYU Press, 1974)でライヒ自身明言しているように、彼の音楽は、西洋音楽の「構造」の再考を試みるものではあれ、いわゆる「前衛音楽」が解体を目指したメロディーやコードに対しては、決して否定的ではなかったわけだから。ケージが「すべての音は音楽である」と宣言した後でどう音楽を構成していくかというのが彼の課題である以上、その保守性はむしろ意図的なのだと思う。初期の、一見極めて実験的に聴こえる "Come Out" (66) や"Piano Phase"(67) も、決して叙情性を失ってはいなかった。

渋谷:とすれば、今回の新作 "City Life" も含めた "Different Trains" (89) 以降のライヒの創作に対して、そこに見られる過剰なノスタルジーを批判する向きもあるけど、それは初期から一貫したテイストだったと言うことになる。"Come Out" は好きだけど"The Cave"(94)は甘い、とかいうのは非常に表層的な聴き方だと思う。あと、彼のサンプリングに対するアプローチは独特で、巷に氾濫する「サンプリング・ミュージック」のただ並列的なだけのサンプルの羅列とは対照的に、ひとつのサンプルが合奏のきっかけになったり楽器でなぞられたりすることにより多層的な意味を持ってくる。それは、この"City Life"でも一層押し進められているんじゃないかな。

東:そこで興味深いのが、今観たヴィデオでライヒが言っていたこと。ひとつのフレーズのイントネーションには、話し手の国民性とか階級とかが如実に表現される。ライヒにとってサンプリングとは、そういう社会的多様性をメロディーの上に対応させ、増幅させる装置でもある。例えば"The Cave"の第一幕で、"Sarah was barren"(サラは不妊だった)というフレーズがパレスティナ訛りの英語で反復される箇所があるのだけど、ユダヤ人の起源に関わるそのエピソードは単純に悲劇的であると同時に、また凄く政治的かつ宗教的なメッセージをも含むものなわけだ(ライヒ自身ユダヤ人だし)。

それにしても、渋谷氏と佐々木氏はガチで音楽の話をすると思うんだけど、おれはいったいなんの話をするんだろう……。渋谷の若い頃の武勇伝とかか?


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