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著作権とか白田さんとか2

前回のエントリに対して、「もともと著作権の話なんて、金の話なんだよ。みんな良識あるからそういわないだけ。おまえみたいなショボい学者が口出すんじゃねえよ、ごらあ」みたいなメールが来ました。

はあ、そうですか(笑)。

というわけですが、こういう「著作権はビッグマネーが動いているんだ、生々しい話なんだから理想論なんてやるな」的な話って、ブログとか見るとときおりあるので、ちょっとだけデータを示しておきます。

話を単純にするために、著作権全体ではなく、ブログ論壇で著作権が話題になるときにJポップと並んで議論の中心になる、オタク系コンテンツのことだけを考えてみましょう。メールの書き手はそのことに関心があるみたいだったし、実際、最近日本で著作権が問題になるときには、たいてい「オタク産業をこれからどう育てていくか」という関心が伏在していることが多いからです。

では、オタク関係ってどれくらい金が動いているのか。コンテンツ関連産業は1兆円とか10兆円とか言われますが、そういう数字には実は周辺機器の売上だとかテーマパークの売上だとかいろいろ入っていて、オタク系コンテンツの市場規模からは離れています。実際に調べてみると、コミケの総売上が50億円、角川グループでの涼宮ハルヒ関係の総売上が70億円だか80億円だかです。昨年刊行された「オタク産業白書」によると、オタク市場の規模は全体で1800億円と見積もられています。ゲームとかDVDとか全部合わせて。

あれ?そんなもんなんだ、という感じがしませんか。ちなみに、食品のひとつである豆腐の、外食などを含めない卸だけの市場規模は3000億円から4000億円です。

というわけで、ぼくは思うわけです。そりゃ、著作権の改正なり改悪なりが生活に直結するひとはいるでしょう。それはあらゆる制度設計について言えます。しかし、このオタクの市場規模は、客観的に見て、「ビッグマネーが動いているんだから学者はだまれ」というほどの規模ではない。

むしろ、オタク文化のダイナミズムは、もともと金銭的な価値ではないところに支えられていて、だからこそみんなオタクの市場規模を実際より高く見積もってしまうのだから(この誤解は決して悪いことではありません)、その利点を活かすべきなのではないか。要は、オタクは貧乏なわりにおもしろいもの作っているのが利点なんだから、あまり金の話に巻き込まれなくてもいいじゃん(というか金の話に巻き込まれると負けちゃうよ)、もっと理想論で動こうぜ(どうせ理想論で動くしかないんだから)、というのがぼくの考えなのです。

なお、この1800億円って冷静に考えると本当に少ない数字で、それにいったい何万人のオタクがぶらさがって生活しているんだ、と考えると暗澹たる気持ちになってきます。

その悲惨な状況は、市場規模と労働者数のアンバランスやそのほかさまざまな歴史的条件によって決まっているので、著作権を強化して多少クリエイターの「権利」を強化したところで、焼け石に水という感じがします。そっちはそっちで労働問題として別の論理で対処すべきでしょう。


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