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ここは、批評家・東浩紀が運営するブログです。東浩紀の経歴や業績については、hiroki azuma portalをご覧ください。
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世代について
投稿日時:2008年02月25日01:48
このあいだのエントリで濱野智史さんの『恋空』論を紹介したので、その続きでふたつのエントリを紹介します。両方とも、濱野さんと同世代のひとたちによるものです。
ひとつは福嶋亮大さんのエントリ。
そしてもうひとつは宇野常寛さんと荻上チキさんの対談(インタビューというより対談です)。真ん中あたりに『恋空』についての言及があります。
「ゼロ年代の批評」のこれから──宇野常寛さんロングインタビュー
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さて、例によって、以上のような文章を読むたびに僕ももう若くないなあと思うわけですが、それはそれとして、つぎのような変化を感じます。
濱野さんの文章は依頼原稿でしょうが、福嶋さんの文章も宇野さんと荻上さんの対談も、ボランティアというか同人というか、商業原稿とは別に勝手に書かれたものです。しかし、上記二つの文章は、おそらくは、ケータイ小説について(あえてその部分だけを取り上げたとしても)商業誌で行われている多くの議論よりはるかにレベルが高い。
こういう現象は歓迎すべきです。それは批評の効率がよくなったことを意味しているからです。
『動ポモ』のあとがきにも書いたのですが、サブカルチャーは変化が早いものです。批評はその点ではどうしても遅れがちです。それそのものは悪いことではありません。ものを考えるにはどうしても時間がかかるから。
しかし、そのような不可避な遅れとは別に、出版メディアの権威的で保守的な構造が強いる遅れというものがある。それこそ、いま福嶋さんや宇野さんに『恋空』論を書かせる場所を用意できる紙メディアが、どれほどあるのか。ぼくには思いつきません。
なにか新しいことが起こる。それについて新しいことを考える。それを発表したいと思う。けれども、メディアを握っているのは、たいていの場合、(1)新しいことで金儲けをしたいひとか、(2)新しいことを古いことのなかに押しこめたいひとか、そのどちらかです。だから、新しいタイプの評論を書こうとすると、たいてい編集者に止められる。評論のスタイルが歓迎されるのは、もう新しいものが新しいものではなくなったときです。それこそ、いまのライトノベル評論のように。
しかし、それは評論の書き手にとっては単に無駄で、耐え難い。そもそも評論が世の中で軽蔑されているのは、そういう「遅れ」を強いる構造が評論の流通のなかにあるからです。だから、それは変えなければならない。そういうわけで、ぼく自身も「波状言論」そのほかいろいろ試みた。
けれども、残念ながらぼくの世代では限界があった。なぜなら、批評家や学者や編集者に関するかぎり、ぼくの世代はまだまだ保守的で、どうのこうの言いながらも、みな出版を信じ、書籍を信じ、新聞を信じ、文学賞や教授職を信じているからです。むろん、ぼくもおそらく例外ではない。ぼくはどうしようもなく出版人です。こういう「感覚」は、それぞれの世代が育った社会環境に強いられているので、個人の努力ではどうしようもないものがある。
古い感覚を否定する必要はありません。でも、それが障害になるときはある。その点、濱野さんや福嶋さんや宇野さんや荻上さんの世代は、ぼくからはとても自由に見えます。彼らはそこで、商業出版で書けないことがあれば、躊躇なく別の回路で意見を発表することを選んでいるように見えます。そして、その背後には、単に個人の資質だけではなく、「自分と同世代がブログに知的な意見を発表している」ことへの一般的な信頼があるように見えます。それは単純に羨ましいのです。
そもそも、理工系と人文系では、ネットへの感受性が、少なくとも5年、もしかして10年ぐらいは隔たっているのではないでしょうか。ぼくの記憶では、2000年代に入ってすら、メールを使っていない編集者はけっこういました(ぼくはそういうなかではずば抜けてネットに詳しいやつだったのです、これでも)。ぼくの世代の人文系の人間は、基本的にネットを自分の文章の場としては考えていない。ネットを使うとしても、「これは出版用」「これはネット用」と書き分けてしまうところがある。というか、ぼく自身もそうですね。
下の世代が出てくると、自分の「世代性」をいろいろな意味で痛感します。
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なお、こんなぼくの戯れ言とは別に、上記2つのリンクはともに興味深いので、ぜひご一読を。
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