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渦状言論へようこそ。

ここは、批評家・東浩紀が運営するブログです。東浩紀の経歴や業績については、hiroki azuma portalをご覧ください。

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濱野論文/思想地図次号と次次号

こんばんは。ゼロアカ挑戦者のUstreamが80人も視聴者を集めたことに、多少驚いている東浩紀です。東スレの住人ってそんなにいたんだ……。

ちなみに、そのustでazuma名でチャットに加わっていたのはぼくではありません。チキさんが現れたときには、ぼくも思わず「シノドスください」って打ち込みかけたけどな!w

多くのひとにはさっぱりわからない冗談ですみません。

さて、そんな夜を過ごしているぼくですが、ustチャットを見てにやにやしているだけではありません。『思想地図』の準備も粛々と進んでいます。

次号の特集は「ジェネレーション」。第二特集が「ソシオフィジックスは可能か」。両者は密接に関わっている(もともとはひとつの特集だった)のですが、内容的に二つに分けて構成してあります。12月出版予定です。

それで、その第二特集では、濱野智史さんと西田亮介さん、それに鈴木健さんに論考を寄せて貰っています。3人いずれも興味深い論文を寄せてもらって(とくに鈴木さんには多忙ななか書いていただいて)責任編集として嬉しいかぎりなのですが、とくになかでも、濱野さんの論文は力作です。

じつはぼくは、濱野さんがその論文を上げてきたころ、ちょうど彼が出版したばかりで、ぼく自身も帯を寄せている新著『アーキテクチャの生態系』の紹介をしようと、このブログでエントリを準備していたところでした。しかし、その論文を一読し、こりゃあこっちのほうがすごいぞ!とか思ってただちに紹介を止めてしまったw。……というのは冗談としても、たださっくりと本を紹介する、なんてことができなくなったのは本当で、『アーキテクチャの生態系』が幅広い読者に向けて書かれた一般書(を偽装した書物)だとしたら、『思想地図』の論文のほうは、同世代の福嶋さんの連載などもかなり意識したうえで、彼自身の思想や社会観がかなりはっきりと打ち出されたコアなテクストにしあがっている。このブログの読者であれば、たいてい『アーキテクチャの生態系』は読んでいると思うのですが(そうでないひとはただちに読むのをお勧めします、いい本です)、そのつぎにはぜひ『思想地図』次号の濱野論文を読んでみてください。二つ続けて読むことで、濱野さんのヴィジョンが見えてきます。

ぼく自身の個人的な感想としては、この濱野論文を読んで、『動物化するポストモダン』でぼくが「萌え要素」と呼ぼうとしていたもの(最近の福嶋さんがおそらく「神話素」とか「演算子」とかいう言葉で一般化しようとしているもの)が、ニコニコ動画上の「タグ」の問題として捉えれば、きわめて具体的、かつクリアに論じることができるのだということがわかり、それはとても大きな収穫でした。そもそもあの本については、「データベース消費」というところばかり注目されて(そして動物化したオタクはデータベースに規定されている、といった受動的な消費者像ばかりが注目されて)、そのデータベースから萌え要素を通じてシミュラークルが生成していく、その生成のところで「解離的人間」が生きることになるんだ、という主張のほうはほとんど読まれていない。その文脈において、この濱野論文は、『動物化するポストモダン』に対して、いままでに書かれたもっともすぐれた註釈のひとつになっていると思います(誤解を避けるために付け加えれば、濱野論文は別に『動ポモ』論ではありません、結果的にということです)。少なくとも、『動ポモ』の著者としてはそう感じました。

こんなふうに書くと、また宇野さんが「東は劣化コピーを褒めて終わってる」とかいいそうですがw、とにもかくにも、濱野くんの仕事がすぐれていた、少なくともぼくとしてはそう感じたのだからしかたがない。まあ、そういうことです。

あともうひとつ。

その『思想地図』なのですが、じつは次次号(第3号)より、編集体制が多少変わります。詳細は正式な告知を待って欲しいのですが(といっても、思想地図ってウェブサイトがあるわけでもない、古いタイプの出版なので、どこで告知がされるのかぼくもよくわからんのですが)、発刊頻度があがり、各巻のページ数が減り、そして北田さんとぼくが交替で各巻のメインの責任編集を務めることになります。つまりは、『思想地図』東編集号と北田編集号を交替で作って、少しスピードアップを図ろうという目論見なわけです。

第3号の担当はぼくです。おそらく2009年の4月か5月に出版されることになります。

それで、まさにいま3号の目次を思案中なのですが、特集は「アーキテクチャ」にしようかと考えています。ネットのアーキテクチャ、社会設計のアーキテクチャ、そして文字どおり「建築」のアーキテクチャの3つが交差する地点で、論者を集めてみようということです。

そして、その特集と関連して、昨年と同じく、来年1月には東工大でのシンポジウム開催を予定しています。そちらのテーマは「アーキテクチャと批評的言語の可能性」(仮)です。まだ日程が確定していないので発表できないのですが、昨年とは違った意味で「おお?! そう来たか!」と思わせるパネリストを用意しています。そちらもご期待ください。

といったところで、ゼロアカとかネットスターとかばっかりやってるわけじゃないんだぞ!というアピールのエントリーでしたw。

いや、むろん、ゼロアカもネットスターも楽しみまくっているわけですけどね……。


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