kajougenron : hiroki azuma blog

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渦状言論へようこそ。

ここは、批評家・東浩紀が運営するブログサイトです。東浩紀の経歴や業績については、当ブログの親サイトに情報があります。hiroki azuma portalをご覧ください。

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blog entries at 【2004年01月】

飛行機飛びません

成田でcharlieとともに暇もて余してます。どうなってんだよ、アシアナ!

新人類?

こんばんは。小学生のころ小山田いくの大ファンだった東浩紀です。「すくらっぷ・ブック」とかエピソードほとんど暗記してました。

さて、そんな話をいきなり持ち出したのは、業界周辺で捏造されかけている1980年代ブームにウンザリしているからです。仲俣暁生氏はさすがに、そんなブームのなか何とか生産性を見出そうとしているみたいですが、

はてなダイアリー - 陸這記 crawlin’on the ground 1/24

僕はこの意見にも懐疑的です。「宮台真司、大塚英志、浅羽通明、大月隆寛、坪内祐三、福田和也、島田雅彦、宮崎哲哉、小谷野敦、小熊英二、山形浩生、といったあたり」の言説史の研究が必要だというけれど、それって本当でしょうか? 僕の印象では、彼らが同世代を強く意識して、打ち出すようになったのは、彼らがもう単純には若手でいられなくなった1990年代も末にさしかかってから。だとすれば、その起源を遡行してバブル時代に見出すこと、それそのものが、特定の世代の特権視を強化するだけではないでしょうか。

仲俣さんの意図が別のところにあるのは承知しています。しかし、僕は、こういう語りは、結局のところ、新人類から僕の年齢あたりまでのノスタルジアを強化するだけだと思う。学部生のころから『批評空間』界隈に出入りし、80年代の消えゆく残光のなかやたらと《新人類世代》(便宜上ここでは仲俣さんのいう「80年安保世代」とほぼ同じ範囲で広く使います)と付き合ってきた人間として思いますが、いま重要なのは、新人類世代の系譜など考えることではなく、むしろその当の人々が「世代」の呪縛から解き放たれることではないでしょうか。庵野秀明がむかし言っていたように、特権的な世代体験がバーチャルなものしかない、という諦めが(団塊と比較したときの)新人類の出発点だったはずで、実際に、仲俣さんが挙げた人々もみな当初はバラバラなことをやっていたはずです。それが最近は妙に演歌的というかプロジェクトX的になって、起源探しを始めており、かつての読者としていささかイタい。2000年代も半ばに差しかかり、「結局俺たちがいちばん若いまま来ちゃったよね」(大塚英志氏と宮台真司氏がどこかの対談で話していた言葉)という能天気な自己肯定はさすがに最近機能しなくなってきたわけですが、そうしたら今度は「そんないまだからこそ俺たちの歴史を振り返る必要がある」「ぜひ若いひとたちに新人類世代の記憶を受け継いでもらいたい」という発言が出てくる。これはちょっと困ります。仲俣さんの文章にも、そう受け取れる部分があります。

とはいえ、バブルが終わったあと多くのポストモダニストが「転向」したのは事実だし、それが検討すべき問題なのは間違いない。この点では僕は仲俣さんの問題意識に全面的に賛成です。しかしそれなら、僕ならまず浅田彰や田中康夫や村上龍や柄谷行人の名前を挙げます。そしてそれはたぶん世代論にはならない。1980年代後半にデビューした人々の特異性、というのは僕にはよく分からない。そしてあまり気にしたこともありません。彼らの論壇プロレスを「言説史」と称して研究するぐらいなら、スピノザやカントを読んだほうがよっぽど勉強になる——とかいうとあまりに浅田彰くさいんで躊躇しますが(笑)、しかし正直そういいたいところです。

ファウスト賞と血の交換

続けてファウスト賞の話題。

太田くんに尋ねたところ、応募作のなかで数作面白いものがあるとか。期待が高まりますが、応募作全体でもいろいろ面白い特徴があったようです。太田くんの許可を得たかぎりで情報公開しますが、ミステリ色はあまりなくて、佐藤心言うところの「現代ファンタジー」が圧倒的多数だそうです。

そしてその現代ファンタジーにもふたつほど特徴があったようです。まずひとつは、吸血鬼ものがきわめて多いこと。もう少し抽象的に言うと、血を流す、血を交換するというモチーフを中心に据える作品が多いようです。しかもそこで「痛さ」の描写はほとんどない。もうひとつは、同性愛ものが多いこと。そもそも異性愛は少数で、しかもセックスを描いた作品はほとんどない。ファウスト賞の応募者は10代、20代ばかりで、しかも男性が多い。そんな若い男性が小説を書いておきながら、100作に1、2作しかセックス描写がないというのはかなり異常な事態です。

吸血鬼に同性愛、と来ると、『月姫』とやおい?なんて思ってしまうのがオタクですが、僕はここにはもう少し普遍的な問題が隠れていると思います。それはコミュニケーションの変容です。僕はむかし『網状言論F改』で「ゼロ個の性」というアイデアを述べ、小谷真理氏に笑われてしまったことがあるのですが、その言葉で言いたかったリアリティとこのふたつの特徴は繋がっているような気がします。

血の交換が描かれながら、痛覚が回避される。それは、血のモチーフが、身体性の回復といった主体の問題系(リストカット)ではなく、むしろ、もっと非身体的な情報交換のメタファーとして描かれていることを意味するのだと思います。サイバーパンク以降よく言われていることですが、現在の私たちは、自分たちの身体を、トラウマを刻まれた性的身体であると同時に、さまざまなデータがそこを通り過ぎる結節点のようにも捉えている。いままで純文学では前者のほうが好まれてきましたが、ここで血の交換という流体的なメタファーが力をもってきたのは、若い書き手の関心が後者のほうに移動しつつあるからなのではないか。だとすれば、異性愛の問題があまり描かれない理由も理解できる。文学の問題は結局はコミュニケーションの問題であり、そして会話(言葉)を超えたコミュニケーションというと普通は性と暴力しかないのでどうしてもセックスやケンカのシーンが多くなりがちなのですが、ここでもし、純粋な情報交換の身体的表現とでも言うべきものがあるとすれば、その表現ばかりが突出して現れてきてもおかしくはない。セックスは必要ない。むろん生殖の必要もない。私たちの身体は、性的な身体以前に、何よりもまず、血液という情報媒体が満ちた流体的なデータバンクなわけで、ファウスト賞応募作の総体が何となく向かっていたのはそういう世界認識なのではないか。

そう考えると、ますます、西尾維新のリスカ作品の重要性が増してきます。実は「波状言論」02号では、上記問題と絡む僕のリスカ解釈を直接西尾さんにぶつけています。購読者のみなさんは楽しみにしていてください。

芥川賞

こんばんは。もはや波状言論の告知で患わされることなく、blogを快調に更新できる東浩紀です。先日は、北田鼎談の予習を兼ねてディズニーシーに行ってきました。外界との連続性をあえて残したと言われる、東京の夜景が見れるポイントも見学してきました。……とかいって、これも波状言論の話ですね。ではそれはまたいずれ。

ところで、僕がディズニーシーで遊んでいるなか、世の中は芥川賞で大騒ぎだったようです。そういうわけで、東さんはどう思うの?と尋ねられる機会がけっこうありました。それで記しておきますが、僕は今回の受賞劇には、ちょうど5年前のあのときと同様、ウンザリするだけで何も意見はありません。受賞のお二人には、おめでとう、の言葉があるのみです。

ただし、別に驚いたことがあります。それは、おおかたがネタ的な使い方(ex. そのこ症候群)だとはいえ、ウェブで若い人たちがずいぶん芥川賞に関心を向けていることです。思い出すに、いまから10年前、まだ大学生だったころの僕は芥川賞にはほとんど関心がありませんでした。年2回あることも知らなかったし、当時『批評空間』の言説にたっぷり染まっていた僕は、根拠なく、本当にすごい作家は芥川賞なんて取らないんだと信じてました。そして同時に、本当にすごい批評家は文芸誌にも論壇誌にも書かないものだと信じてました。そんな美学はいまだに僕に取り憑いていて、こうやって書いていてもウンザリしますが、とりあえず、東大表象関係でもサブカル関係でも、当時の僕のまわりで芥川賞なんてネタにすらなっていなかったことは事実です。それがどうしてこうも変わってしまったんでしょうね。そのことには少し関心があります。

他方で、僕のいまの文学的関心は、芥川賞などよりも『ファウスト』の動向に向いています。西尾維新や佐藤友哉は今回の受賞作家と同年代です。マスコミは、かつて平野啓一郎を天才と呼んだように、今度は彼らをもちあげているわけですが、僕は、西尾や佐藤、それに年がちょっと離れますが舞城王太郎を加えた『ファウスト』のコアメンバーのほうが、未来の文学を担う作家として有望だと思います。純文学とエンターテインメントの違いなど関係ありません。そして実際、ここ1、2年、佐藤や舞城は文芸誌にも掲載されるようになりました。ようやく才能ある作家が正当に評価される時代が来たのかと思ったものです。

しかし、今回の騒ぎを見るかぎり、文芸業界はまたもやくだらないスターシステムで延命を図るつもりのようにも見えます。もしそうだとすれば、僕はそれには軽蔑しか感じません。だからネタにもしません。

いずれにせよ、僕にできることは、僕がすばらしいと信じるものが正当に評価される状況を作るべく、言説で多少とも世の中を変えていくことです。僕は、批評家として、別のところから、別の仲間とともに、別の市場を使って文学を変えていくことになるでしょう。『ファウスト』がその出発点となればよいのですが。

はてな復活

波状言論関係の投稿が相次いでいるので、休眠中だった旧「hirokiazuma.com@はてな」のページを、波状言論関係専用のブログサイトとして復活させました。今後はそちらを参照してください。

hirokiazuma.com/hajou@はてな

第1号配信しました

ご無沙汰してます。ブログまで駆使してついに新海さんを事務所(波状言論のイメージカラーでもあるオレンジのソファがトレードマーク)に呼びつけた、hitomisiriing顔負けの粘着・東浩紀です。そして、そのかいあって、ついに次回作の絵コンテを見ることができました。へへへ。この絵コンテがまた質が高いんです。驚きました。まじでいい作品になりそうです。ほか、セカイ系とか作品の政治性とか、あとモモーイとか韓国ドラマのギャルげーくささ(このことについてはいつか波状言論の連載で話します、いやまじで)とかについていろいろ話しました。新海さん、お忙しいのにありがとう! お礼にあのネタは秘密にしておくよ!

というわけで、本来ならば新海さんの次回作についてまじめなコメントを書かねばならないし、実際のち書くつもりなのですが、とりいそぎ波状言論について告知します。

**

波状言論01号、ただいま配信しました。無料公開版に負けないボリュームでますます気合いが入っています。登録者のみなさんの手元にはそろそろ届く頃だと思います。登録確認メールをもらっておきながら、今回波状言論が届かない場合は、どこかで何らかのミスがあったと思われますので、info@hirokiazuma.comまで(haやhajouのアドレスには送らないでください)、配信希望のアドレスからご連絡ください。返信で波状言論を送るとともに、そのアドレスのほうに登録を切り替えます。こちらでも不達通知を確認して、随時連絡を取るつもりでいますが、読者のみなさんからも連絡をいただいたほうが確実です。

ただし、いくつかの連絡をとりまとめ、リストの修正作業など行ってから配送しますので、第2次の配信は今週日曜日になってしまうと思います。数日の遅れが出ますが、いま事務所の作業がごたごたしていますので、今回だけ猶予いただけると幸いです。次回からは迅速な対応ができるように体制を整えます。

新海さんの次回作の絵コンテです

申し込みについて

波状言論の申し込みですが、銀行振り込みでの1月号の購読申し込み、および年間一括の申し込みは、事実上すでに締め切られています。現在から送金されても、連休を挟むため13日以降での送金の扱いになるからです。したがって、現時点で申し込みメールを送り、1月号の配信を希望して送金していたとしても、配信は2月以降になります

再三注意を掲示してきたにもかかわらず、残念ながら、締め切り後も申し込みが相次いでいます。申し訳ありませんが、手続き上、10日24時の時点で入金を確認されたかたのみが配信リストに乗るようになっています。したがって、いま申し込まれてもどうしようもありません。登録者数が多いため、個別の返金にも応じられません。また、いくつかメールが来ていますが、個別の交渉にも応じられません。入金されるかたは上記を了承のうえお願いします。

なお、はてなポイントでの1月号申し込みは、ぎりぎりまで受け付けています。11日になりましたら上記と同じく2月号以降の購読申し込みとみなしますので、お気をつけください。

あと4日

12月30日まではコミケで忙殺され、そのあとも別の原稿で手一杯だったのでなかなか手が回らなかったのですが、ようやく暇ができたので、波状言論のサイトを手直ししてみました。

hirokiazuma.com/hajou

内容はそれほど新しくなったわけでもないのですが、波状言論のイメージカラーがオレンジに決定しました。決定といっても、要はhirokiazuma.comのバナーの色がもうそれくらいしか残っていなかったというだけの話なんですが、何となく春らしくていいのではないでしょうか。

それと、あと4日で「波状言論」の1月号購読の申し込み期限がやってきます。実は僕の手元には、まだ入金を確認していない申し込みメールが100通近く溜まっていて、困りはてています(自分で管理しょうとか思うんじゃなかった)。半分ほどはすでに1週間以上経っているのでキャンセルと見なしていますが、どうかみなさん、入金はお早めに。10日は金曜日なので10日は土曜日でした。銀行振込の場合は9日内に振り込んでください。はてなは10日まで可能です、11日あたりに最後のグループの配信確認メールを送ります。

追記:
コミケで年間一括の登録をされた方で、メールアドレスが間違っているうえ、携帯電話の電源をつねに落としているかたがひとりいます。コミケでの登録者にはすでに全員配信確認のメールを出しましたので、心あたりの方は事務所(info@hirokiazuma.com)まですぐメールをください。なお、該当者の方のイニシャルはM・K(名、姓)です。

あけましておめでとうございます


みなさん、あけましておめでとうございます。 今年もhirokiazuma.comをよろしくお願いいたします。

携帯から投稿したように、元旦の真夜中に、義父の家に挨拶に行ってきました。最近妻がミステリチャンネルで話してきたというのでバラしてしまいますが、僕の義父、すなわち妻の父は、ミステリ翻訳家として著名な小鷹信光氏です。ダシール・ハメットやジェイムズ・クラムリーなどの翻訳で知られていますが、若いみなさんには『探偵物語』の原作者というほうが分かりやすいかもしれません(とかいまでこそ言ってますが、そもそも僕がそういう無知なひとで、結婚の挨拶に行ったときに大恥をかいたものです。まあその話はまたいずれ)。

小鷹氏はペーパーバックの蒐集家としても知られており、ハードボイルドを中心に8000冊以上の貴重なコレクションをおもちです。写真はその一部です。新年早々、『ブラックマスク』の原書や、チャンドラー『大いなる眠り』の初版本(時価数千ドル!)を見せて貰うなど、贅沢な時間を過ごしてきました。

なお、小鷹蔵書の一部は、実は「めりけん図書館」として一般にも公開されています。まだ開館まもないのですが、『ジャーロ』2003年秋号(笠井潔×乙一対談の号)ほかで、連絡先が紹介されています。意外と宣伝効果がなかったらしく、小鷹氏は「問い合わせが殺到するかと思ったらぜんぜん来ないよ」と苦笑いしていらしたので、いまがチャンスです。僕を介しても連絡は取れますので、興味がある方はお気軽にどうぞ。

義父の家に行きました

新年の挨拶に書斎におじゃましました。

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