kajougenron : hiroki azuma blog
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ここは、批評家・東浩紀が運営するブログサイトです。東浩紀の経歴や業績については、当ブログの親サイトに情報があります。hiroki azuma portalをご覧ください。
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blog entries at 【2004年07月】
BSディベートアワー
カテゴリー[critique]投稿日時: 2004年07月20日10:02
こんにちは。舞城王太郎芥川賞落選の報に落胆しつつも、それはそれで元気な東浩紀です。
はてな出張所のほうに書きましたように、夏コミ本作業の地獄のような日々が終わったので、僕はようやく社会復帰しつつあります。Hakagixのほうはたいへんすばらしい本に仕上がりました。『動物化するポストモダン』の続編のような本です。2700円とちょっと高めですが、それだけの内容はあると思いますので、ぜひお買い求めください。通信販売がお勧めです。大口取引先の青山ブックセンターが突然潰れてしまった(!)ので、書店での購入はしばらく難しくなるかもしれません。
さて、それはそれとして、トップページでも告知しているとおり、今週末のBSディベートアワーに出演することになりました。テーマは「若者たちと語るネット社会」で、ディベート形式ではあるのですが、事前打ち合わせの感触からするに、教育的な観点から見てネットの法的規制はやむをえないのではないか、という結論に落ち着きそうな勢いです。実際それが世間の大勢なのですが、多少異論を挟んでこようかと思っています。
というのも、僕の考えでは、子ども、とりわけ思春期の少年少女が誘惑や危険に曝されているのはいまに始まったことではないし、ネットや携帯電話が匿名的なコミュニケーションを可能にする、というのはいまや幻想にすぎないからです。ネット社会の管理について考えなければならないことがやまほどあるなかで、子どもに携帯をもたせるべきかどうか、チャットの作法を学校で教えるべきかどうか、一日のインターネット利用時間に基準を設けるべきかどうか、なんてのは、はっきり言ってトリビアルな問題のような気がします。そういえば、むかし、車内の携帯電話通話を認めるかどうか、なんて「論争」もありましたね。。。
以上が僕の考えなのですが、とはいえ、「ディベート」である以上、それなりに客観的な説得力をもたせなければなりません。というわけで、僕はいまいろいろ資料を捜しているのですが、子どものネット利用/携帯電話利用と、少年犯罪やひきこもりの増加、さらには社会の治安悪化のあいだに関係がある、あるいはないと主張している興味深い資料がありましたら、情報を投稿してくれるとたいへん助かります。日本国内のものも、欧米・アジアのものも、ともに求めています。この欄では細かく応答できないかもしれませんが、出演時には参考にさせていただきます。収録は、放映日の前日です。
Hakagixとファウスト
カテゴリー[critique]投稿日時: 2004年07月10日07:47
こんにちは、東浩紀です。みなさん、お元気ですか。僕は連日の暑気と夏コミ本の作業で追われて体力的にヘロヘロになっています。ちょっと作業が一段落したので、投稿します。
本家のサイトも、ほぼ一ヶ月ぶりに更新しました。夏コミ本の購入予約も受付を始めました。
hirokiazuma.com
HajouHakagix:美少女ゲームの臨界点
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それにしても、こうやって整理すると、ここのところ波状言論以外の仕事はほとんどしていないことをあらためて思い知らされます。「それで生活大丈夫なんですか」とよく訊かれるのですが、むろん大丈夫なわけはありません。インタビューが溜まるのと反比例して、貯金はどんどん減ってます。昨年の稼ぎを食いつぶして批評道楽に勤しんでいるのですが、さすがにこれではマズい、という危機感もあります。8月のコミケが終わったら社会復帰を考えねばなりません。
とはいえ、今年は、カネになっていないことを横に置けば、ここ数年でもっとも批評家らしい仕事をしている年で、それには満足しています。6月号の椹木野衣・八谷和彦対談にしろ、7月号の阿部和重・法月綸太郎対談にしろ、ともに商業誌にひけをとらない質の(そして、商業誌では絶対実現できない量の)テクストになっていますし、夏コミ本で行ったササキバラ・ゴウ氏へのインタビューも、『新現実』に興味をもった読者にはぜひ読んでもらいたいものです。こういう活動が個人ベースでできるのも、ひとえにICレコーダやメールやデジカメやInDesignのおかげであり、なんか、もう業界から遠く離れて、株かなんかで一発当てて、どこか南の島で同人誌でも楽しく作り続けて余生を過ごせたらいいな、とか最近は考えています。人間関係に疲れたのかも……。
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あと雑談。舞城王太郎氏が芥川賞候補になったそうで、とてもよいことだと思います。佐藤友哉氏も西尾維新氏も精力的に作品を発表しているし、太田さんが見出したあの3人の実力がようやく世の中に認められてきた、といったところでしょうか。いま時代はライトノベル・バブルの様相を呈していますが、ブームが過ぎ去っていっても、彼らの作品はちゃんと読まれていくことでしょう。僕はブームにはまったく興味がない(どころか反感をもっている)し、それに乗って本を売ろうとか賞の選考委員をやろうとかぜんぜん思っていないのですが、彼ら3人の文学史的評価に関してだけは、批評家としてきちんと責任を果たしておきたいと思っています。
そういえば、『ファウスト』のほうも部数が大幅に伸びたようで、いまや小説誌全体のなかでも大物雑誌になってしまいました。つい先日、太田編集長と会ってお祝いの言葉を伝えましたが、そんな流れのなかで、僕のようなマイナーで商業主義軽視の批評家にどんな存在価値があるのか、いささか悩みどころではあります。
夏コミ本(220pのフランス装・フルカラー表紙の評論本)は、もし僕が『新現実』を自由に編集できたらやったはずの企画を、ひとりで勝手に実現したような本です。いまだから言いますが、2002年の秋、『新現実』第2号用に僕が書いた秘密の企画書には、上遠野浩平、佐藤友哉、乙一、滝本竜彦の各氏に並んで、元長さんと原田さん、そして奈須きのこ氏と涼元悠一氏の名前があったのでした(このアイデアがのち『ファウスト』に流れていきます)。僕はあのころから、ライトノベルと美少女ゲームの交差点を捉える批評的枠組みについて延々と考えていたのですが、いろいろあってそんな企画は大塚さんには理解されず、いまだって『空の境界』がいくら売れても批評が活発になることはありそうにないので、ついに個人出版で実現するところまで追いつめられたわけです。(笑)
そんな経緯があるので、この本については、多くの読者が興味をもってくれるととりわけ嬉しく思います。『ファウスト』はむろん太田さんの個人誌なのですが、もしその編集方針に僕が多少とも貢献できたとするのなら、そちらのほうの起源は、伝奇でもメディアミックスでもない、この本に書かれたようなヴィジョンにあるのです。『ファウスト』が急速にメジャー化しようとしているいま、そのことを、たとえ個人出版としてでもかたちに残しておくことは重要だと考えました。
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そして業務連絡。こういう次第なので、書店員さんなどで、この本の委託販売に関心のある方はぜひ編集部までご一報ください。前回までは青山ブックセンターさんととらのあなさんが主な取引先でしたが、今回は、僕だけの本でもありませんし、『ファウスト』や『新現実』と並べて(は、さすがに無理にしても 笑)幅広く置いていただきたいと考えています。そんなときのために、ISBNまで取っちゃいました!
見本誌は8月15日までできあがりませんが、7月下旬以降であれば、InDesignファイルがあるのでサンプルをお見せできます。とにかく、内容の濃さだけは間違いないです。そしてマップが自信作です。
8月7日の追記。
夏コミコピー本のため上記の新現実用企画書を引っ張り出してきたところ、上遠野氏と原田氏の名前はありませんでした。僕の記憶違いのようです。上遠野氏は打ち合わせの席で話は出たものの、企画書としてはもっていかなかったようです。原田氏はver2の企画書で入っていますが、こちらはちょっと公開できないのでコピー本には入りません。