kajougenron : hiroki azuma blog

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渦状言論へようこそ。

ここは、批評家・東浩紀が運営するブログサイトです。東浩紀の経歴や業績については、当ブログの親サイトに情報があります。hiroki azuma portalをご覧ください。

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blog entries at 【2005年07月】

誤解

こんにちは。東です。

最近の仕事一覧をアップしました。波状言論が終わったので、少し印刷媒体の仕事に復活しつつあります。

さて、あるブログで(いつも楽しく読ませていただいているブログなのですが)、先日のエントリに関して、「東さんは新城カズマや桜坂洋を若い作家と誤解しているのではないか」と書かれていました。

その直後に「もしかして認識されているかも」と書かれてはいるものの、そんなふうに思われたことにショックを受けてしまいました。僕は、『ファウスト』を応援しているからといって、『ファウスト』しか読んでいないわけではありません。SF/ミステリまわりはほかにもいろいろ面白く読んでいて(たとえば先週なら『ハイドゥナン』とか)、刺激も受けているのですが、機会がないので取り上げないのです。そもそも、新城カズマ氏に関しては、かりに『サマー/タイム/トラベラー』で名前を知ったのだとしても、ググればすぐに昔の仕事と会社のサイトが出てくるので、キャリアを誤解するのはありえないです。

というわけで、新城さんと桜坂さんが、世代的には僕と同じ、いわゆる「オタク第2世代」に属することは僕は十分承知していました。

しかし、このような誤解を招きがちなのは、なにか僕の書き方や態度に問題があるのかもしれません。というか、たぶんそうです。先日、『攻殻機動隊 S.A.C.』の監督、神山健治氏と対談したのですが、そのときも神山さんに「東さんは攻殻とか興味ないと思っていた」と言われてしまいました。

しかし、なぜ! むろん見ますよ、そりゃ! 僕はそもそも押井マニアだし、SFファンですよ! というわけで、『S.A.C.』第1シーズンは傑作だと考えている(あれは押井パトレイバーの最良の継承者でしょう)し、それは、僕のいままでの履歴から明らかだと思っていたのだけど。しかし、そんな気持ちはぜんぜん伝わっていなかったのですね。ああ……。

どうも僕は、この数年「美少女ゲーム」とか「セカイ系」とか「萌え」とか言いすぎたせいで、ほかのものにぜんぜん興味がないように思われているのかもしれません(笑)。これはこれでまずいなあ、と思う今日この頃です。

最近の仕事200508

■印刷媒体

・「「電車男」ヒットの背景」
談話
文化面「論点」、『毎日新聞』7月30日号

・「情報社会の二層構造」
短い論文
『情報通信ジャーナル』2005年9月号、財団法人電気通信振興会

・「神林長平超ロング・インタビュウ」
神林長平へのインタビュー
#『波状言論』2005年1月号掲載のインタビューの再構成版
#序文書き下ろし
『SFマガジン』10月号、早川書房

・「記号化されたリアル」
阿部和重、法月綸太郞との鼎談
#『波状言論』2004年7月号掲載のインタビューの再録
阿部和重、『阿部和重対談集』、新潮社

■ネット

・「計算可能なリスクと計算不可能な気分
エッセイ
第2回
IT-PLUS、日本経済新聞社

・「自己革新的な社会に向けての教育とメディア
井庭崇、江島健太郎、楠正憲、近藤淳也、鈴木健、八田真行、村上敬亮、石橋啓一郎とのシンポジウム
ised@glocom」設計研第4回、国際大学GLOCOM

・「情報社会の合意形成と設計の知:司会方針
『GLOCOM FORUM 2005 予稿集』用の原稿
国際大学GLOCOM

■波状言論

・「日韓のネットコミュニティ」
宣政佑へのインタビュー(鈴木謙介と共同作業)
『波状言論 完全収録版』(CD-ROM)
波状言論

■講演など

・「(題未定)」
小倉秀夫、加野瀬未友、北田暁大、白田秀彰、高木浩光、辻大介とのシンポジウム
ised@glocom」倫理研第5回、国際大学GLOCOM
8月20日、横浜プリンスホテル、横浜市
#GLOCOM FORUM 2005の一部として開催

・「(題未定)」
井庭崇、楠正憲、近藤淳也、鈴木健、八田真行、村上敬亮とのシンポジウム
ised@glocom」設計研第5回、国際大学GLOCOM
8月20日、横浜プリンスホテル、横浜市
#GLOCOM FORUM 2005の一部として開催

・情報社会の合意形成
公文俊平、國領二郎、鈴木健、吉田民人とのシンポジウム
8月21日、横浜プリンスホテル、横浜市
#GLOCOM FORUM 2005の一部として開催

■そのほか

・8月14日、コミックマーケット68に「波状言論」で出店(西ほ-11a)。
・8月20日、GLOCOM FORUMでGLOCOM TVに出演
・『読売新聞』8月26日夕刊、文化面の記事「Otakuニッポン」にコメント。
・『AERA』8月29日号(朝日新聞社)、オタク関係の記事にコメント。

最近の仕事200507

■印刷媒体

・「isedについて」
エッセイ
『智場』vol.102、国際大学GLOCOM

・「ライトノベルは文学運動なんです」
インタビュー
『MANTANBROAD』vol.14、毎日新聞社

■ネット

・「匿名は本当に悪か
エッセイ
第1回
IT-PLUS、日本経済新聞社

・「個人サイトを中心としたネットにおける情報流通モデル」
井庭崇、小倉秀夫、加野瀬未友、北田暁大、白田秀彰、高木浩光、辻大介、石橋啓一郎とのシンポジウム
ised@glocom」倫理研第4回、国際大学GLOCOM

■講演など

・特になし

■そのほか

・「commonsphere.jp」が本格的に始動。

募集締め切り

2つ前のエントリーで記した東研の手伝い募集ですが、さっそく何人か応募がありました。おかげさまで人材不足は解消されそうなので、とりあえず締め切らせていただきます。

ありがとうございました。

新城カズマと桜坂洋

新城カズマの新作『サマー/タイム/トラベラー1』『サマー/タイム/トラベラー2』を読みました。

僕はこのブログでは、基本的に書評や映画評は書かないことにしています。気軽に作品評をアップしていると自分の首を絞めるような気がするからですが、それでも、半年にいちどくらい、首を絞めてもいいやと思う作品に出会うことがあります。この『サマー/タイム/トラベラー』もそのひとつです。

この小説は小品ながらよくできています。一昔前に「レトロフューチャー」という言葉が流行りましたが(いや、流行ってはいなかったかもしれないけど、ともかく)、その倒錯した感覚をみごとにキャラクターとSF設定のなかに落としている。地域通貨とか監視カメラとか、『凹村戦争』的な閉塞感とか、諸処に織り込まれたガジェットもいい感じです。多くを語るのはよしますが、それでもひとつ言っておけば、最後の20ページほどに詰め込まれた未来スケッチにはけっこう感心させられました。「被著作人」や「情報税」というのは作者の造語なのかしら? 僕もほかで借りたいものです。

ところで、この『サマー/タイム/トラベラー』と同時に、同じハヤカワSF文庫から、桜坂洋の『スラムオンライン』も出版されています。

こちらも、大塚ギチの『東京ヘッド』が青春小説に昇華されたようないい感じの作品なのですが、桜坂であれば、やはり、昨年末に出版された『All you need is kill』をお勧めしたい。この作品は傑作です。「メタリアル・フィクションの誕生」(動ポモ2)の(とくにその舞城王太郎論の)読者であれば、僕がこの作品に惹かれる理由はすぐ分かるでしょう。

『サマー/タイム/トラベラー』といい、『All you need is kill』といい、今年は、ライトノベルとSFの交差点で完成度の高い作品が続いているような気がします。『ファウスト』と並びこちらも注視しています。

ised renewal&commonsphere blog

isedのサイトを大幅にリニューアルしました。

http://www.glocom.jp/ised/

濱野くん渾身の制作のisedキーワードもリスト化されました。情報社会関係の研究をしているひとはぜひ。

http://ised.glocom.jp/ised/00000000


同時に、スタッフ内では「いちばん盛り上がった」と評判の倫理研第4回の記録も公開されました。加野瀬未友さんの講演です。今回より委員に小倉秀夫さんも加わっています。

http://ised.glocom.jp/ised/20050514

いろいろな意味で話題を集めそうな内容です。ご覧ください。

他方、commonsphere.jpでは新しくニュースブログを立ち上げました。

http://commonsphere.jp/blog/

これもまたブックマークしておいてくれると嬉しいです。

それにしても、commonsphereの始動によって、東研もさすがに人的リソースが枯渇してきました。しかし、僕たちにはまだまだやりたいことがある。というわけで、スタッフを探しています。

だれか、isedの注釈作成やcommonsphere.jpのニュース投稿を手伝ってくれる、意欲と能力のあるかたはいないものでしょうか。院生以上が好ましいですが、能力がある(と自分で思う)なら学部生でもかまいません。HTMLを書けたり英語が話せたりすると好ましいですが、専門は問いません。ただし、仕事に責任をもち、持続的に関与できるかたに限ります(これはとても重要!)。最初はボランティアになると思いますが、成果によってはGLOCOMのリサーチアソシエイトとして有給の契約などを考えます。

興味のあるかたは、僕個人か、isedもしくはcommonsphereの事務局までメールをくれると助かります。どちらでも、メールを出しやすいほうを選んでください。どうせ最終的には僕が審査します。

地下鉄で手荷物検査

ロンドンは混乱の一途を辿っていますが、ニューヨークではついに地下鉄の改札口で手荷物検査が導入されたようです(以下のリンクは英語)。

New Yorkers Handle Subway Checks as Part of Their Day

僕たちはいま、公共交通機関を身分証明なしで利用できます。そのことはいままで当然だと考えられており、したがって理論武装も必要ありませんでした。しかし、いまや世界の常識は大きく変わりつつあります。近い将来には、世界のおもな都市では、バスや地下鉄に乗るときはIDの呈示を求められるようになるでしょう(実際には、本人が意識することなく、ICカード搭載の携帯電話やパスポートによる認証機能で代替されるでしょう)。ホームレスや不法滞在外国人はバスにも電車にも乗れなくなるでしょう。

人文系の教育を多少でも受けたひとならば、この変化のデメリットを批判するのは簡単です。プライバシーの侵害、監視社会、排除社会、外国人差別の強化云々といった理屈が、すぐに浮かびます。しかし、いまやその種の言葉はほとんど説得力をもたなくなっています。もしかりに10年後、都市生活をいまと同じように自由に匿名で送りたいのならば、僕たちはかなり強力な新しい思想を生み出さねばならない。そんなことができるのかどうか、まったく自信がありません。

それにしても、いったいなんでこんな社会になってしまったのか。戦争中ならともかく、普段はバスや電車は安心して乗りたいものです。

hirokiazuma.comリニューアル

hirokiazuma.comを大幅にリニューアルしました。

名前も「hiroki azuma portal」と変えました。ご覧ください。

GLOCOM forum 2005

GforumB05.jpg

さらに続けて告知です。

来る8月14日にコミケで『波状言論 完全収録版』のcd-romを売るのは、

http://d.hatena.ne.jp/hazuma/20050714

で告知したとおりなのですが、その1週間後の20日-21日、

http://www.glocom.ac.jp/top/project/gforum/2005/about.html

に記されているとおり、「GLOCOM forum 2005 情報社会の合意形成」に参加します。

1日目のセミナーでは、isedほかさまざまなセッションが開催されます。isedは、はてなの近藤淳也氏、産業総合研究所の高木浩光氏の講演を核とする討議です。2日目のシンポジウムでは、吉田民人氏、公文俊平氏、國領二郎氏、鈴木健氏とともに「情報社会の合意形成」をテーマに議論を行います。裏番組のセッションでは、切込隊長氏やひろゆき氏も呼ばれているようです。いろいろな意味でありえない豪華なフォーラムですので、興味のあるひとはぜひ参加をお申し込みください。

なお、

http://www.glocom.ac.jp/top/project/gforum/2005/GforumB05.pdf

でダウンロードできるチラシは、TRiCKFiSHこと松谷創一郎氏のデザインです。松谷さんも、いつのまにかGLOCOMで働いています。

まんがたうん

さらに仕事の告知です。線路から落ちているだけではないのです。

毎日新聞社が運営しているサイト

まんがたうん

が配布しているフリーペーパー「まんたんブロード」で、インタビューを受けました。このフリーペーパー、おそらくサイトとは編集部が独立しているのではないかと思いますが(8/1追記:のち8月1日に編集者のかたよりメールをいただき、編集部は一緒だとの指摘を受けました。たいへん失礼しました)、編集方針にこだわりがあって、いい媒体になりそうな予感がします。そこに共感してインタビューを受けました。

今回の特集は「ライトノベル進化論」。僕のインタビューのタイトルは「ライトノベルは文学運動なんです」。このタイトルだけでだいたい内容は分かると思いますが(笑)、お読みになりたいかたは以下の配布先を探してみてください。

配布先一覧

動ポモ2も書かねば。。。。

commonsphre.jp始動

como_6.jpg

続けてほかの仕事の告知です。

ずっと前にこのブログで告知した「iSession Creative」ですが、そのあと鈴木謙介さんがGLOCOM内の僕のグループから離れるなど、スタッフの体制に混乱があり、動きが滞ってました。しかし、ついに始動したので告知します。名前は「commonsphere.jp」と変わっています。

commonsphere.jp

僕はこのサイトのディレクターをつとめています。最初は西島大介さんにインタビューをするとともに、キャラクターを提供してもらい、増田聡さんにコラムを書いてもらいました。

西島さんのキャラクターは、aiデータがCreative Commonsで公開されています。aiデータの公開をお願いしたのは、オープンソースを意識してのことです。jpgは、プログラムで言えばいわばコンパイルされたあとのexeファイルみたいなものだから、それだけ公開してもオープンソースとは言えない。では、アートワークのオープンソースとはなにかといえば、それはaiやpsdのデータではないかと考えたわけです。

そういえば、むかし僕の肖像を『広告』の表紙で書いてくれた青島千穂さんは、ベジェ曲線の組み合わせだけで人体を描いていました。彼女のようなアーティストにこのプロジェクトに参加してもらうと、おもしろいのかもしれません。

匿名は本当に悪か

東浩紀です。娘が生まれたり線路に落ちたり忙しい毎日ですが、仕事もしています。

日経のサイト「ITPlus」に以下のような記事を書きました(今後も不定期で掲載されます)。

匿名は本当に悪か?

匿名というとインターネットがよく話題になりますが、匿名性の排除は、いまはネットに限らずネット外の現実社会でこそ進んでおり、僕の関心はそちらにあります。

この原稿の最後で「要は、市民全員がスマートカードだか携帯電話だかでゲートをくぐるハイパーユビキタス社会よりも、よくわからんやつでも小額の現金をもっていれば交通機関や公共施設を使えるような社会のほうがいいんじゃないか、ということである」と書いてあります。遠からぬ将来、先進国では(経済的理由と治安的理由から)IDカードがなくては地下鉄も乗れなくなるだろう、というのは僕のかねてからの持論なのですが、ちょうどこの原稿を書いた直後、ロンドンでテロが起きました。イギリスが世界に冠たる監視技術先進国であることを考えると、その予想が実現するのは意外と早いのかもしれません。

線路に落ちました

injure.jpg

おはようございます。東浩紀です。

昨晩午後9時半、JR飯田橋駅で酔っぱらって線路に落ちました。

歩きながら寝てしまったらしく、前後の記憶が定かではありません。とにかく、体のバランスが崩れたと思ったら目の前に線路があって、体中に激痛が走ってました。すぐ近くのひとびとに引き上げてもらい、名前や住所を聞かれて答えられる自分にホッとしながら、救急車の到着を待って、そのまま病院へ。

左目上部がぱっくり開いており、シャツとズボンは血まみれでかなり迫力ある外見だったのですが、本質的な怪我は左肩の骨にヒビが入るくらいですみました。全治3ヶ月で、6週間ほどは三角巾で吊る状態になるようですが、不幸中の幸いといったところです。妻は娘とともにタクシーで駆けつけてくれたけど、帰りは電車でおとなしく帰りました。

しかし、これはヤバい! 中年男性が泥酔して軌道に転落し、構内に入ってきた車両にはねられて死ぬ、といった事故はよく報道されていますが、まさか自分がそんな目に遭うとは。あまりのあまりな展開に笑ってしまいましたが、一歩間違えれば死んでいるところです。今後はいろいろ自制しようと思いました。

僕を線路から引きずりあげてくれた飯田橋駅のみなさん、ありがとうございました。

misc