kajougenron : hiroki azuma blog

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渦状言論へようこそ。

ここは、批評家・東浩紀が運営するブログサイトです。東浩紀の経歴や業績については、当ブログの親サイトに情報があります。hiroki azuma portalをご覧ください。

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blog entries at 【2005年11月】

NY

NY.JPG

おはようございます。東浩紀です。こちらはいま水曜日の朝です。

Japan Societyの招きで佐藤大氏とともにニューヨークに来ています。U.S.-Japan Innnovators Projectというものの一環で、僕たちはここで、アメリカの次世代を担う「innovator」たちといろいろ交流することになっています。と説明してもよく分からないと思いますが、正直僕たち自身もよくわかっていません。佐藤さんはTVドラマのプロデューサーと面談するようですが、僕は「N+1]の編集者やMIT Media LabやBerkman Centerの研究者に会ったりしてきます。Steven Levyに会えるのが楽しみです。

ニューヨークについたのは月曜日夕方で、写真はそのときのものです。実はこのあと、僕たちは空港からホテルまで1時間だけリムジンに乗りました。あの長いヤツです。佐藤さんと僕はおおはしゃぎで記念写真を撮りまくったのですが、その写真はあまりにバカっぽいのでアップロードを見合わせました。佐藤さんとはこの仕事ではじめてお目にかかったのですが(作品は以前より見ていました)、たいへん面白い方です。すっかり意気投合し、いろいろ話し合ってます。

昨日はDonald Keen Centerでの講演を済ませてきました。主題は「動物化するポストモダン1」と「2」。ライトノベルもない、オタクもいない地の伝統ある大学の構内で果たして僕の話が通じたのかどうかたいへん微妙な感じでしたが、質問は多く来たのでそれなりに成功したのかもしれません。

以下に、そのとき使ったファイルを置いておきます。講演は日本語でしたが、スライドは英語です。「J批評」のネーミングはなかば冗談ですが、外国講演用に、日本でなら絶対に書かないような乱暴な見取り図を書いてます。あまり突っ込まないようにお願いします(笑)。

http://www.hajou.org/works/NY_azuma.pdf

今日の夕方には、佐藤さんとトークショーがあります。これが今回の訪米のひとつの山です。タイトルは「Otaku Unmasked」。どうんな話になるのやら……。

最近の仕事200512

■印刷媒体

・「大塚英志の苛立ちを受け止めよ」
エッセイ
「潮流06」第4回(この号より「06」に改名)
『論座』1月号、朝日新聞社

■ネット

・「開かれた社会へ向けて存在の匿名性を擁護する
小倉秀夫、加野瀬未友、北田暁大、白田秀彰、鈴木健、高木浩光、辻大介とのシンポジウム
ised@glocom」倫理研第6回、国際大学GLOCOM

・「ゼロ年代の批評の地平——ポストモダンの世界に生きる
2つのエッセイ、20冊のブックリストと簡単な紹介
紀伊國屋新宿本店「じんぶんや」第十六講
紀伊國屋書店

■波状言論

・特になし

■講演など

・「裏波状言論」
トークショー(聞き手:福嶋亮大)
『波状言論S改』出版記念
12月17日14:00-16:00
三省堂神田本店8F、東京都千代田区

・「ゼロ年代の批評の地平 —リベラリズムとポピュリズム/ネオリベラリズム」
紀伊國屋書店主催:第28回新宿セミナー@kinokuniya
北田暁大、斎藤環、山本一郎(切込隊長)とのシンポジウム
12月25日18:30-
紀伊國屋書店新宿本店紀伊國屋ホール、東京都新宿区

■そのほか

・11/28より12/9までJapan SocietyのUS-Japan Innovators Programの招待で渡米
・12/30にコミケ出店予定
・上記「じんぶんや」のブックフェアが紀伊國屋書店新宿本店で開催
・「第9回コンピュータ犯罪に関する白浜シンポジウム」報告書(CD-ROM版)に講演録が掲載。

Conversation with McGray

こんにちは。多少風邪が治ってきたかな、という感じの東浩紀です。みなさんはお元気ですか?

紹介が遅くなりましたが、アメリカの若手ジャーナリスト、Douglous McGray氏によるインタビューが以下に公開されています。拙い英語で答えたので不安でしたが、Dougがみごとにまとめてくれました。感謝です。


A conversation between Hiroki Azuma and Doug McGray on literature, anime, and otaku culture in contemporary Japan

文学フリマ参加中止

東浩紀です。

風邪で高熱が出ているため、明日の波状言論の文学フリマ出店は中止することにいたしました。申しわけありません。

取り急ぎ、用件のみで失礼いたします。

インスパイア

こんばんは。僕にしては珍しく固有名を曖昧にした話をします。

最近、ある新聞で「繋がりの娯楽」というキーワードでネットを分析し、北田さんにまったく触れない長めの文章を見ました。北田暁大氏の「繋がりの社会性」と微妙に変えてありますが、同じことを言っているのは明らかです。著者は僕も北田さんもよく知っているひとですが、これはどうかと思いました。同じひとは某所で「モバイル社会の倫理と開発と欲望」をテーマとした研究会を立ち上げているらしいのですが(準備中のため未確認)、これもどうも「情報社会の倫理と設計」(ised)に似ています。

むろん、僕はそのひとの独自性に異議を挟むつもりはありません。たとえば、さきほどのタイトルであれば、「欲望」の一語を加えたことに彼独特の見解が入っていると言えないことはありません。

しかし、学者である以上、やはり言葉の選択には敏感すぎるほど敏感であるべきです。研究者は概念に著作権を主張しません。だからこそ、その由来はできるだけフェアに参照すべきです。引用や参照の基準はひとそれぞれであり、彼の行動は見方によってはセーフです。しかし、僕の基準では、彼の最近の行為は——ここでは書けないほかの事例も含めて——かなりグレーな領域に入ってきています。いずれにせよ、「繋がりの娯楽」と書くときには、同じ学者としての自負があるのであれば、北田暁大を参照すべきです。

人文・社会系の学者には、むかしから、本当に影響を受けた対象を隠し、そのひとを飛び越えて元文献を引用することでハクをつける、という非倫理的な態度がまかりとおっています。たとえば一昔前には、柄谷行人を読んだことは明確なのに、柄谷の名前を一切出さず「他者」や「交通」をキーワードにするひとがいっぱいいました。こういう行為は、批判するのがたいへん難しいものです。「俺も原書で同じことを思いついたのだ」と言われれば、それまでだからです。

しかし、そのような飛び越えは実際にはすぐ分かるものです。ゆるゆるのインスパイアは、学者人生を狭めるものでしかありません。

キーワード20

こんばんは。東浩紀です。

今月末発売の『InterCommunication』に、GLOCOM東浩紀研究室渾身の制作による「情報社会を理解するキーワード20」(監修:東浩紀+濱野智史)が掲載されます。項目は「コミュニケーション」「認知限界」「エンパワーメント」「オープン」「情報財」「価値」「ネットワーク」「組織」「プラットフォーム」「データベース」「自由」「秩序」「身体」「環境」「ユビキタス」「公共性」「創発」「セキュリティ」「ゲーム」「認証」。参考文献は100以上。すべての項目が、isedの議論を引き継ぎつつ、そのさきの新しいパラダイムに到達するための問題提起的な解説になっています。概念相関図も2つ発表します。僕の情報社会論に興味のあるかたは、ぜひお読みください。

ところで僕たちは、この原稿の最終アップのため、昨日から今日昼にかけて、GLOCOMでスタッフとともにずっと作業を続けていました。写真は午前8時の光景ですが、床に何人も倒れ、栄養ドリンクの空き瓶がごろごろ転がる惨状……。そういえば去年のいまごろは同人誌のため似たようなことをやっていたもんだ、と遠い目をしてしまいました。なんでいつもこうなるんだろう……。

リベラリズムとポピュリズムのあいだで

『波状言論S改』刊行記念のシンポジウム開催が決定しました。クリスマスです。タイトルからテーマは明らかだと思いますが、北田さんと切込氏の対峙を通してゼロ年代の言論状況を浮かびあがらせ、斎藤さんに遠くからジャッジを願う、という構成を考えています。僕は司会です。

ところで、その『波状言論S改』は、発売日前に重版が決まりました。僕の本はつねに初速だけは早いので、あまり喜べませんが、12月までにはもういちどくらい重版したいものです。

==

第28回新宿セミナー@kinokuniya
『波状言論S改』(青土社)刊行記念トークセッション
「ゼロ年代の批評の地平 ―リベラリズムとポピュリズム/ネオリベラリズム」
◎講師:東浩紀/北田暁大/斎藤環/山本一郎(切込隊長)

■日時:2005年12月25日 午後6時半開演(午後6時開場)
■場所:紀伊國屋ホール(紀伊國屋書店新宿本店4階)
■入場料:1,000円(全席指定・税込)
■ご予約・お問い合わせ:紀伊國屋書店事業部(03-3354-0141)10:00〜18:30
■チケット発売(予約):11月15日(火)より開始
■主催:紀伊國屋書店 協力:青土社

韓国にて

korea.jpg

こんばんは。東浩紀です。ソウル、서대문(西大門)近くのホテルから書いています。

講演は無事終わりました。

僕の「動物化するポストモダン」は、純粋なオタク研究というより、先行するオタク論/サブカルチャー論の書き換えという側面を強くもっています。したがって、同席した李ヒョンソク氏と宣政佑氏も言っていましたが、宮台真司も大塚英志も本格的に紹介されておらず、美少女ゲームも発展しておらず、そもそもそれ以前にバブルの狂騒を経験していない韓国では、僕の講演はかなり理解しにくいもののはずです。実際、シンポジウムでは、韓国ではやおいは強いが萌えは目立っていない、という発言も出ていました。にもかかわらず、質疑応答では会場からけっこう本質をついた質問が出て、嬉しく思いました。

両国の違いについていろいろ思うところもありましたが、もっとも驚き、かつ象徴的だったのは、マンガ研究というマイナーなテーマのセミナーだというのに、聴衆の大半、もしかしたら2/3以上が若い女性だったということ。これは日本では考えられません。実際、ここにこそ、両国の状況の差異が現れているのかもしれません。いずれにせよ、今回の講演が、僕の講演歴のなかでもっとも女性率が高いものだったことは確かです(笑)。

というわけで総じて面白い経験でしたが、僕は韓国語ができないため、通訳を介した一方的な報告になってしまったのが残念です。また、僕自身が、韓国の批評的コンテクストをまったく知らないことの問題も、あらためて痛感しました。せっかく同世代の評論家や実作者と同席できたのだから、意見交換をしたかったのですが、あっけなく言葉の壁で阻まれました。

聴衆には、日本語ができ、僕のサイトをチェックしているひとも数人いたようなので、これを見て、なにか感想があったら気軽に送ってみてください。韓国の人が「動物化するポストモダン」の議論をどう受け取るのか、ぜひ伺ってみたいと思います。早く翻訳版の出版社を探さねば……。原稿はあるのに……。

明日は、宣さんのご自宅にお邪魔する予定です。さて、韓国のオタクの自室とはどんなものなのか? 

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