kajougenron : hiroki azuma blog
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ここは、批評家・東浩紀が運営するブログサイトです。東浩紀の経歴や業績については、当ブログの親サイトに情報があります。hiroki azuma portalをご覧ください。
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blog entries at 【2007年05月】
夏から来年にかけての出版予定
カテゴリー[critique]投稿日時: 2007年05月30日11:21
こんにちは。東浩紀です。
今年はすでに4冊も本を出版しているのですが、実は今年後半から来年にかけても、いろいろ予定が立っています。それについて簡単にお知らせしておきます。
■
7月
『情報環境論集 東浩紀コレクションS』、講談社
「情報自由論」など収録の単著です。
8月
『批評の精神分析 東浩紀コレクションD』、講談社
分厚い対談集です。
11月
『ギートステイト』、講談社
現在MouRaで連載中の未来学エンターテインメントです。桜坂洋さんとの共著になります。
年末〜新春
『ISED 情報社会の倫理と設計 倫理編』、河出書房新社
『ISED 情報社会の倫理と設計 設計編』、河出書房新社
濱野智史さんとの共編著
あのisedが完全活字化されます。isedを総括する僕の書き下ろし原稿も掲載されます。全部で120万字ぐらいの予定です。ページ数は……1000を超えるのは確実なのですが……、まあ考えたくもないですね。定価はかなり高くなる予定です。購入予定者は心しておいてください。
新春〜3月
『(タイトル未定) vol.1』
北田暁大氏と共同責任編集で思想誌を創刊します。
■
以上のなかで、もっとも広い読者層を対象にしているのは『ギートステイト』です。こちらについてはメディアミックス展開もひそかに考えられているのですが、僕のブログでは告知できないこともあるので(基本的にエンターテインメント業界のルールで動いているので)、関心のある向きはMouRaのサイトをときおりチェックしてみてください。
他方、現代思想業界的に話題になりそうなのは、やはり北田さんとの思想誌創刊でしょうか。
この思想誌、第1号の特集は「日本」で行くつもりです。論文の公募も行う予定です。特集に絡めつつ、僕がメインに審査するテーマと北田さんがメインに審査するテーマの二つを設けようかと思っているので、発表を期待しておいてください。出版社もきちんと決まっていますが、社内的な手続きが終わっていないそうで発表はまだできません。なお、編集者から書けと言われたので書いておきますが、正確には雑誌ではなくて「論集シリーズ」だそうです。でもまあ、読者的には思想誌と考えてくれて問題ありません。『新現実』だって、正確にはムックのシリーズだったんじゃないかな?
あと、『ギートステイト』と並行して、桜坂さんとは実はもうひとつ共作が動いており、作品も着々とできあがっています。こっちは文芸業界で話題になりそうなものですが、それについての詳細もまたいずれ。
さらに加えると、今年は、僕の『動物化するポストモダン』がようやく外国語になります。まずは夏に、韓国語版が「ムンハクドンネ」という出版社から出版されます。先日序文を書きました。11月にはフランス語版がHachetteというけっこう大手の出版社から出版されます。また、つい先日、英語版の出版契約書をUniversity of Minnesota Pressとのあいだで交わしました。HachetteもUniversity of Minnesota Pressも、学生のころずいぶんお世話になった出版社なので、けっこう感慨があります。
というわけで、かなりいろいろやっています。「東は本を出さない」「仕事をしない」と言われていたころが、嘘のようです。基本的にはこの数年、ずっと仕込みをしてきたプロジェクトがつぎつぎかたちになっているということなんですが、それでもこの集中ぶりには、自分でも驚いています。
思えば僕は2000年代前半、ちょっとさぼり気味でした。この怒濤の出版ラッシュをステップにして、2008年にはぐっと飛躍したいものです。2008年は、「ソルジェニーツィン試論」から15年、『存在論的、郵便的』から10年の年ですしね!
「ゼロ年代の想像力」
カテゴリー[critique]投稿日時: 2007年05月25日07:13
続けて。
宇野常寛さんが『SFマガジン』7月号で連載を始めた「ゼロ年代の想像力」を読みました。第1回はほとんど東浩紀批判なのですが、この批判には一定の説得力があり、そのような批判が自分より7歳下から出てきたことを嬉しく思います。
僕のほうからの彼への反論、というか返答としては、僕自身もまた彼の指摘する問題(ひとことで言えば「セカイ系」的想像力の古さ)は判っているつもりであり、だからこそ、それを乗り越えるために、今年はいままでの仕事をまとめて出版したり、ギートステイトを始めたりしている、という答えになります。
そもそも、『ゲーム的リアリズムの誕生』『美少女ゲームの臨界点』を含め、僕がこの数年行ってきたオタク系批評の背景にあったのは、放っておいたら忘却されるかもしれない、そして実際にされつつある1990年代後半的想像力の可能性をきちんと言語化しようという意図でした。だからこそ、それが売れているかいないかには関係なく、新伝綺とは距離を取らざるをえなかったし、いくつもの重要な作品を無視せざるをえなかったという事情があります。したがって、僕の状況認識そのものは、宇野さんが考えているよりは宇野さんに近いはずです。しかし、以上によって、宇野さんの問題提起の鋭さが鈍るわけではありません。
むろん、まだ連載第1回目なので、宇野さんの批評家としての実力のほどは判りません。連載の全体計画は示されていますが、僕の経験からすると、連載冒頭のそのような計画はたいてい崩れるものです。しかし、ともかくこの第1回は、刺激的な原稿だと思います。
宇野さんはこの原稿のなかで「東浩紀の劣化コピー」という言葉を使っているのですが、最近の僕はまさに、彼がそう呼んでいるであろうひとたちの言動にウンザリして、批評家としてのエネルギーを失いつつありました。宇野さんの原稿は、そんな僕に久しぶりにやる気を与えてくれました。こういうエントリを書くと、また変な業界読みをするひとがいるかもしれませんが、もはやそんなのもどうでもいい。単純に嬉しいので、ここに記しておきます。
あとは連載を楽しみにしています。
まなびストレート
カテゴリー[critique]投稿日時: 2007年05月25日04:59
おはようございます。
さて、ギートステイトではときおり「雑記」なるものを掲載しているのですが、そこで、東浩紀と桜坂洋が前クール(というのは正確な表現ではないかな?)の話題のアニメ、「まなびストレート!」について語るという、ある意味で終わったエントリが公開されました。
「まなび」については、ネットで岡田斗司夫派対東浩紀派の対立が展開していたらしいのですが、すっかりオヤジと化している僕と桜坂さんは当然リアルタイムで追っているわけもなく、でもフォローしてないとヤバそうだという感触を感じて、先日僕の自宅で、2歳弱の子供がいるという状況などガン無視して午前2時までの連続上映会を行ったわけですが、このエントリはその記録です。
http://blog.moura.jp/geetstate/2007/05/post_bc71.html
ご笑覧ください。
#ついでにトップ画像も「まなび」風に変えてみました。
情報環境論集とまたもや愚痴
カテゴリー[critique]投稿日時: 2007年05月23日07:41
5月も後半になりました。まだ早い告知ですが、7月初頭に「東浩紀コレクション」の第2巻「情報環境論集」が出版されます。
第2巻は、タイトルに示したとおり情報社会論系のテキストを集めた本で、第1巻よりはまとまりがあります。第1部は2002年から2003年にかけて『中央公論』に連載された「情報自由論」、第2部はもう10年近く前に『InterCommunication』で連載された「サイバースペースは何故そう呼ばれるか」、そして第3部には2006年の『InterCommunication』に掲載された「情報社会を考えるキーワード20」が収録され、全部で400頁くらいの本になる予定です。
「情報自由論」も「サイバー」もともに、出版社から単行本化を強く勧められながらも、内容に満足できず一度は書籍化を諦めたものです。単発での刊行はいまでも考えられないので、今回、このように論集に収めることできて、よかったと思っています。僕の情報社会論系の議論は、実はオタク論や現代思想に較べてもかなりアクセスしにくいので、この本の出版で読者が拡がってくれるのを期待しています。
情報社会論系の話は、「サイバー」と「情報自由論」の二回挑戦してともに挫折しているわけで、著者としては忸怩たるものがあります。したがって再挑戦するつもりです。この夏のメインの仕事はMouRa連載中のギートステイトで、あれはあれで年内には単行本化される予定なのですが(実はそうだったのです、だから僕は今年は8冊出版になるのかも!)、それと並行して、小説世界と密接な連携をとりながら、僕自身の情報社会=現代社会のビジョンをまとめる新しい本を書き始めようと思っています。まあ、例によってあまり期待はできませんが……。
■
さて、ここからが愚痴。実はその新しい本、タイトルを「情報社会の思想」とするつもりで、編集者にもそう伝え、昨年秋から講演や授業はそのタイトルで行ってきました(現時点でこのタイトルでググると僕関係のページが出ます)。ところが、今月末、きわめて身近なところからそれとそっくりなタイトルの本が出ることが判りました。えー、さすがにそりゃねえだろう、と思いましたが、単に偶然かもしれないし、いずれにせよ仕方がない。ただ、あとで「情報社会の思想」を出版して、向こうのタイトルをパクったと思われるのも癪なので、ここに記しておきます。
以前はこういうときも、「まあ、批評家なんてアイデアをパクられてなんぼだから、鷹揚に構えるか」と思っていたのですが、最近、やっぱり主張するべきことは主張しておこう、そうじゃないと損するだけだ、と思うようになりました。確かに評論のタイトルの自由度はきわめて狭いし、同じ時代に生きていれば同じ事象に目を向けるのはわかるのだけど……、でもねえ。これは僕の基準ではやらない行為かなあ。
あ、書いていたら思い出したので、ついでに。こちらはオタク系、というかSF/ラノベ業界の話ですが、どうやら元波状言論のスタッフで、「東浩紀はケチで、一年間バイトしたけれど飯を一回も奢ってくれなかった」と言って同情を買っているひとがいるようです。けれど、言うまでもなくこれは単なる嘘で(あまりにくだらない嘘だけど)、たぶんほかの彼の発言も似たようなものです。
むろん、僕と彼では、現時点では僕のほうが業界内的な立場が強い。したがって、こういう(いわば)「逆パワハラ」への対応はきわめて難しいものがあります。ちょっと対応を間違えると、逆に僕が加害者になってしまう。そういう面倒くささもあって、いままではこの種の攻撃に対しても、「まあ、一時期彼をかわいがっていたことは確かだし、年下なんだから許すのが大人か」と受け流すことにしていました。しかし、基本的には相手もれっきとした成年なわけだし、なによりも嘘はよくない。彼の発言を信じて僕を悪く思っているひともいるらしいので、今後はそれなりに対応することにしました。先日筒井康隆さんにお会いして、ちょっと(もっと一般的な話として)相談したら、「東くんは文筆家なんだから言葉の暴力には言葉の暴力で闘え」と激励されました。
上記の件といい、この件といい、最近は小さなストレスが溜まりがちです。まあ、仕事をしているかぎり、どんな仕事でもトラブルはつきものですが……。文筆業って、疲れる職業ですねえ。
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ずいぶん変な話になってしまいましたが、いずれにせよ、まずは「情報環境論集」にご期待ください。続けて「ギートステイト」、「ised」と、今年後半はぐっと情報社会論系の仕事が続くはずです。
ちょっとした感想
カテゴリー[critique]投稿日時: 2007年05月10日14:06
東浩紀です。「情報環境論集」の初校ゲラ作業中です。
さて、久しぶりに、告知ではない投稿です。
文學界新人賞を円城塔さんというかたが受賞しました。実は先日、この円城さんにはSFセミナーの席でお会いしました。なぜそんなところで会ったかと言うと、実は彼は今月早川Jコレクションから単行本を出版するのです。なぜそうなっているかというと、このかた、昨年の小松左京賞に応募されていた方なんです。その最終候補作の単行本化の話を進めていたら、なんと文學界の新人賞を獲ってしまったという。単行本のほうは「Self-Reference Engine」というタイトルで、いかにも僕が好きそうな感じなので、楽しみです。
他方で、群像評論新人賞の優秀作を、橋本勝也さんという方の村上春樹論というか、セカイ系論が獲りました。こちらは、SFマガジン主催の第2回SF評論新人賞で落選した評論のようです(あるブログで確認したとの情報がありました)。SFマガジンの選評は読んでいたので、僕もそうじゃないかな、と思いました。このかた、僕の本をたくさん引用してくれているようで、第1回の応募作から名前は伝わってきていました。
僕はお二人の受賞作をまだ読んでいないので、単純にゴシップ的な感想になりますが、この春に「純文学」が送り出す新人二人がともにそんな出自のひとというのは、やはりなんかこう、すごいことになってきたなあ、と思います。とくに、SF評論新人賞は、期せずして群像評論新人賞より選考基準が厳しいことが明らかになってしまったわけですが(笑)、それでいいんでしょうか。来年以降がいろいろ心配です。
そういえば、SFと言えば、たいへん光栄なことに、来年より3年間、日本SF大賞の最終選考委員に就任することになりました。日本SF大賞といえば、この数年間、パーティに潜り込んで有名作家に交じりながら娘を遊ばせたり、ただ酒を飲んだりできる、僕にとっては大切なリクリエーションの場だったわけですが、来年からしばらくそうは行かなくなってしまいました。重責を感じるとともに、ほかの選考委員の方々がとても大物なので、かなり緊張しています。
しかし、どうせなら受賞してから選考委員になりたかったなあ……。いや、そんなことはありえないから、これでいいのか。というか、そもそも僕のような無知な人間が日本SFの頂点を選考していいのでしょうか。ちょっと複雑な気分です。
5月〜6月のイベント
カテゴリー[misc]投稿日時: 2007年05月08日14:54
こんにちは。みなさん、GWはいかがお過ごしでしたか? 僕は自宅でごろごろとしていました。
さて、5月下旬から6月にかけて、続けて4回ほどトークショーを行います。
★
5月24日(木)19時-
北田暁大とのトークショー
「d-laboから考える——僕らは都市に夢を見るか」
於:d-labo(東京ミッドタウン)
5月26日(土)17時-
海猫沢めろん、笠井潔とのトークショー
「新本格からセカイ系へ、そしてゲーム的実存へ!?」
於:リブロ池袋コミュニティカレッジ
6月2日(土)18時30分-
萱野稔人とのトークショー
「激論 国家と自由」
於:朝日カルチャーセンター新宿教室
6月5日(火)19時-
伊藤剛とのトークショー
「「テヅカ・イズ・デッド」から「ゲーム的リアリズムの誕生」へ」
於:朝日カルチャーセンター新宿教室
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ほか、7月13日と20日に、朝日カルチャーセンターで「ゲーム的リアリズムの誕生」を主題とした連続講座を行う予定です。講義概要は下記のような感じです。
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『ゲーム的リアリズムの誕生』と現代社会
講演者は4月に『ゲーム的リアリズムの誕生』を出版した(講談社現代新書)。同書そのものは特殊なサブカルチャーを分析の対象とした文芸評論だが、そこで提起された「環境分析」の方法論は、実は講演者がほかのテクストで展開してきた社会観、人間観と密接に繋がっている。この講義では、『ゲーム的リアリズムの誕生』をメインのテクストとしつつ、前後して出版された『東京から考える』(NHKブックス)、「情報自由論」(『情報環境論集』、講談社BOX7月刊所収)をサブテクストとしながら、講演者の現代社会論の構想をわかりやすく提示する。
★
以上、よろしくお願いします。